ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 白夜のトワイライト オリキャラ募集中 参照600突破っ! ( No.82 )
日時: 2010/08/29 20:36
名前: 遮犬 (ID: hsrPOuX9)

第4話:隠された記憶


「——あっ」

小さな少年は大きく前へとこける。


「大丈夫!?ほら、早く立って!」小さな少年にとっては大きく見える手の平を自分の手と合わせる。


「走るよ!」その少女は自分よりもまだ小さい子供に声をかけて走り出す。


あいつらがくる。あいつらが、僕たちをまた襲うんだ。


何もしてないのに。生まれてきただけで化け物扱いをされ、実験所に送られる。

僕たちは、戦争の道具じゃない。そんなことのために生まれてきたんじゃない。


「この先に白夜がいる…!」お姉ちゃんは唇を噛み締めてそう言った。


白夜、それはお姉ちゃんの…。僕の、一番



大嫌いな人だ。



「みぃつけた…!」


「っ!!」後ろにはゲラゲラと笑う男共がいた。どうせ研究所の傭兵だろう。


「さぁ!きなっ!!」お姉ちゃんの腕が男に掴まれる。


「いやっ!!」「お姉ちゃんっ!!」僕は叫ぶことしかできなかった。

僕は白夜とは違って力がない。僕は、目の前で大切な人が連れて行かれそうになっているというのに。



——僕は、無力だ…!!



「ぐわっ!!」その時お姉ちゃんを掴んでいた手が燃焼した…いや、熱で斬れたのだ。



「大丈夫か?ルト」


「白夜…!よかった…」お姉ちゃんの安堵の声が聞こえる。そしてもう一人、守れる力を持つやつがいる。


憎たらしい。どうして白夜が…。どうして白夜がトワイライトの適用者なんだ…。


どうして僕じゃダメなんだ…。僕は生まれ持って化け物といわれてるぐらいだからそのぐらいできる。


じゃあ白夜はなんなんだ?こいつは一体…。


白夜は男共を全員返り討ちしてしまった。弱くない。強いはずなのだ、あの傭兵たちは。

「レト!いくわよ?」ルトお姉ちゃんが僕に声をかけた。僕は慌てて駆け寄った。



「大丈夫だったか?二人とも」僕より年上の白夜が聞いてくる。


「うん、助かったよ。ありがと、白夜」お姉ちゃんの満面の笑顔。


僕は、強くなりたかった。お姉ちゃんを守りたかった。

確かに白夜は背も高くてかっこよく美形で強い。でも僕だって…白夜と同じ年になれば…。


そんなことを思っていると僕の目の前に手がさし伸ばされる。


「さぁ、いこう。早くいって飯でも食おう」それは白夜の手だった。


僕は無言でその手に掴まり、立ち上がり、またお姉ちゃんたちを追いかけていくのに必死になった。