ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: __マリオネット ( No.15 )
日時: 2010/08/26 13:06
名前: りあ ◆V361x5nfQ6 (ID: memccPfd)

 見知らぬ少年だった。Yシャツにつけてある名札を見る限り、学年は僕と同じだということが判る。でも、クラスが違うのは確かだ。
 何故彼は僕の名前を知っているのだろうか。どこかで会った事がある?無いはず。それとも僕が忘れているだけかもしれない。
「ごめん、君誰?」
 失礼を承知で尋ねてみる。
 彼は僕と会話を交わしたことが会って、単に僕が忘れていた……という事態だけは避けたい。
「ああ、そうか」
 彼が微笑む。人懐こそうな笑みだった。
「僕は野々宮尋人ののみやひろとていうんだけど。知らない?」
 やはり僕が覚えていないだけなのだろうか。
「申し訳ないけど」
 ここは正直に答えておく。
「だよね、初めてだし」
 今回が初対面らしい。
「あのさ、僕、宮瀬君にちょっと興味があったんだよね」
「僕に?なんで」
 僕のような人間に興味を持つ者がいるとは思っても見なかった。
 基本、教室には馬鹿みたいに騒ぐ男子生徒がいるが、僕はその中には入らず静かに生活している様なつまらない人間である。もちろん、話しかけられれば気の利いた返事くらいはする。
 僕は、目立つことは嫌いだ。各クラスには、必ず注目を集める人物が一人くらいは存在する。僕は、そのような存在になりたいとは思わない。面倒だからだ。ただでさえ“警察の息子”として注目される事があるというのに、これ以上周囲の注目を集めるのは面倒なことになる。
「理由は内緒」
 野々宮尋人は、自分の唇の人差し指を当てる。内緒、というのはどういう事だろう。
「宮瀬君とは、一度でいいから話してみたかった」
 野々宮尋人はそう続け、僕の隣に座った。そして、頬杖をつき僕の顔をじっと見つめた。
 僕は視線を本に戻す。
「僕の事は宮瀬でいいから」
「じゃあ僕も、野々宮って呼べば良いよ。みーやーせ、よろしく」
 彼はどこか変わっている。