ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 鬼[オニガリ]狩 ( No.14 )
- 日時: 2010/08/24 23:28
- 名前: 黒ネコ^・д・^ (ID: q9W3Aa/j)
「せんせーい!水那ちゃんの質問忘れてますよ?」
結構いい空気になったとき、英助が思い出したように口を開く。
あぁ、そういえば・・・。
「・・・教えちゃっていいのかよ?」
「悠夜〜、心配してくれてんのかあ?」
「死ね」
いっそ俺が楽にしてやる。
俺は殺気をみなぎらせて宇津木を睨む。
宇津木は「冗談冗談」とせせらと笑う。
なにが冗談だよ・・・・・。
「まあ、・・・別に普通だよ?」
俺と英助はその言葉に口をあんぐりとあける。
・・・・普通じゃねぇから。
俺と英助は心の中で突っ込む。
「単刀直入に言うと・・・・俺、“鬼”なんだよね♪」
水那は放心状態。
俺は深〜いため息を、英助は前髪をグシャっと掻いてから再びピンで留める。
「だっ、・・・大丈夫なんですかーー!!??」
なにがだよ。 ツッコミどころちがくね?
一応シリアス・ダークの小説だから!
(コメ・ライトのものでもあります。でもグロイため・・・←)
「親父は鬼頭で、俺は8人目の息子だ」
「8人目!??」
驚くポイント違うから。
「俺の兄弟は12人いるぞ♪大家族だ☆」
宇津木もはちゃめちゃに答えすぎだ。
大家族だ☆って言ってる場合じゃねえだろ。
「鬼っつっても、俺から下の兄弟は血が薄くなってんだ。
しかも俺は正真正銘の鬼。体は人間じゃない。
だから体を闇・憎しみに喰われることないし、生き胆なんて興味もねえよ」
「・・・・闇に飲まれると、人を食べてしまうんですか?」
水那の言葉に宇津木は小さく首を振る。
「生き胆を喰うのは、人間が鬼の力に耐え切れないからだ・・・。
しかも、ヤツらが動けるのは深夜しかない。
昼間喰えない分、腹ペコなんだよ」
「・・先生、なんで鬼狩りなんて?・・・先生は鬼なんですよね?」
本題を戻す水那は少し脅えていた。きっと聞いていいのか戸惑ったんだろう。
遠まわしに話をそらされたのだから。
「親父は今、病気になってて弱ってんだ。 そんでどっから聞いたか知らねえけど・・・
“人間の生き胆を喰うとどんな病も治る”って・・。
・・・・本当、バカだよな」
だれも相槌を打たなかった。
俺と英助は一度聞いたから知っているが、慣れているわけではない。
むしろ、一度でも聞きたくなかったに近い。
「親父は全ての鬼に命令した。“生き胆を喰え、そして俺に捧げろ”と・・・・。
親父の命令は絶対だ。最後は親父に喰われて果てる。
・・・最初にいっただろ?俺から下は血が薄いって・・。
鬼の薄い分、親父の人喰いが不快に思ったんだろ、下の兄弟はその命令に背いた。
上の兄貴たちはそれを放って置くはずがない」
「・・・下の兄弟さんたちは、・・・どうなったんですか?」
しばらく間が空いた後、ポツリと宇津木がつぶやく。
「喰われたよ」
言ったあと、不適に微笑む。
水那の肩がビクッと震えるのが分かった。
「兄貴たちに喰われた。・・・俺も薄い方だったから、下のヤツと同じで命令を背いたんだ。
逃げ切れたのは、・・・俺だけ」
宇津木は足を組みなおして、ひとつため息を吐いてから、
「・・・・・復讐ってやつ」
先ほどより深く、おぞましく微笑む彼は、今まさに“鬼”といって過言ではなかった。
———ガラッ
重い沈黙時に扉が開く。そこにいたのは、
「失礼します」
——真田だった。
俺たちはいきなりの真田の登場に目をパチクリさせていた。
真田はそんな俺たちにおかまいなしにスタスタと近くの椅子に腰を下ろす。
「・・・入るタイミングがわからなかったの」
すこししどろもどろに言う真田を見てから、みんなで顔を見合わせた。
——っぷ、
「「「あはははっ・・・・!!」」」
「???」
「悪いな。んじゃ暗〜い話は終いにして、話し合いするか」
「「おう!」」
重い沈黙が笑いに変る。
やっぱ真田は変なやつだけど、おもしろいやつだな。
たぶん、この場にいたやつら全員思ったと思う。