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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: cross ( No.75 )
- 日時: 2010/08/27 14:56
- 名前: 水妖 (ID: 8hgpVngW)
終焉の塔 外
初めて、終焉の塔から出た。
自分に当たる風がこそばゆくて。
草花が俺を迎えてくれる様で。
すべてが許される様で、嬉しかった。
「外は、こんなにも綺麗だったんだな。」
「ええ。」
「外は・・・こんなにも美しかったんだな。」
「そうですわね。」
「外は・・・ ・・・こんなにも暖かかったんだな・・・。」
「ええ。これもまた、必然ですから。」
認めてくれる。
こんな俺を。
人には会っていた。
でも、すぐ死にそうな人だった。
人とは思えない奴だっていた。
そんな俺を、
認めてくれた奴は・・・ ・・・彼女だけだった。
***
-詩賦家-
「貴方のお部屋は此方です。」
「・・・ああ。」
「・・・何かあったら其方のお部屋に居ますので、お呼びして下さい。」
優しくしてくれるのは有り難い。
でも・・・
いつまでも此処に居る訳にはいかない。
早く此処から退かないと、
奴等が此処へ来る。
あいつ等が来たら、彼女達が傷ついてしまう。
それだけは、嫌だ。
「君が、月読が連れて来た子かな?」
「・・・貴方は。」
「七葵の兄の彗だよ。」
・・・七葵?
誰だっけ?
あー・・・
月読と一緒に居た奴か。
兄って言われても・・・
「彗。邪魔しないであげて下さい。」
「いいじゃん。」
「そいつ・・・何。」
「彼は私の召使ですわ。」
召使・・・か。
・・・そうだ。俺には関係ない。
此処から去らなければいけない。
彼女には、生きていて欲しいから。
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