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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: cross ( No.77 )
- 日時: 2010/08/27 15:36
- 名前: 水妖 (ID: 8hgpVngW)
夜、屋敷から抜け出す。
気付かれないように、細心の注意を払って。
俺が居たら、皆死ぬかもしれない。
皆を死なす訳にはいかない。
人の優しさを、温もりを、
教えてもらった。
嬉しかった。ただ単に。
「何処へ行くのですか、理人。」
「!」
後ろには、月読が居た。
その後ろには、彗と七葵が居た。
皆に、見つかった。
「・・・理人?答えなさい。」
「・・・ ・・・になる」
「え?」
「俺が居ると、皆不幸になる。」
「どうして?」
眉根を寄せて、唇を噛締めて。
鉄の味がする。
逃げるんだ。此処から。
逃げるんだ、逃げなくちゃ。
足が、竦む。
逃げないといけないのに、足が。
「・・・どうして?」
「俺は、不幸にしたくない。」
「どうして私達が不幸になるのですか?」
「俺は・・・ ・・・! 後ろっ!!」
後ろに居る。
やっぱり来た。
だから・・・っ
だから、嫌だったのに。
後ろから斬りかかろうとしている。
彗が月読を庇う。
「やめろっっ!!」
「・・・×××か?お前の所為だ。お前が居る所為で」
「分かってる!!分かってるから!!もうやめろっ!!」
そうだ、分かってる。
分かってるんだ。
俺が居る所為で、彼女達が苦しむ事も。
俺が居ても、誰かが助かる事なんて無い。
「貴方の所為ではありません。貴方が居る所為で誰かが不幸になるなど
ありえませんわっっ!!」
「そうだよ。君が嫌いなら、誰も匿ったりはしないよ。」
涙が、頬を伝う。
初めて涙を流した。
有難う。
教えてくれて、
有難う。
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ここから地味に戦闘シーンですよ!
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