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Re: cross ( No.82 )
日時: 2010/08/27 19:15
名前: 水妖 (ID: 8hgpVngW)

理人

感傷に浸っている時、
刃が俺の頭の上に突き立てられている。
月読は目を見開いていて、驚きを隠せないみたいだった。

「何時の間にいましたの・・・っ。」
「に・・・ろ・・・。」
「え?」
「逃げろ!!もう・・・もうこれ以上人が死ぬのなんか見たくない!!」

彗はその叫びをモノともせず、俺の方へ向かう。

「それ以上近づくと刃が頭を突き抜けるぞ。」
「では・・・僕と君、どちらが速いか勝負、しますか?」

・・・速い。
何時の間にか頭の上にあった刃は何処かに消え、
後ろに居るのは、彗だけだった。

「・・・ッ!月読!!後ろッッ!!」
「え?・・・ッ・・・ぁぅ・・・」

刃が、月読の身体を突き抜ける。

「月読ッ!!」
「お嬢様!!」
「・・・所為だ。俺の所為だ俺の所為だ俺の所為だ!!」

頭が、うまく働かない。
視界がぼやける。
思考が途切れる。
耳が、遠くなる———。



     ***



目が覚めたら横たわっている彗と、
血塗れの七葵が居た。
彗は意識を失っている様だ。

「お前が・・・ッお前が来たから・・・ッ」
「・・・。」

そんな事、分かっていた。
だから別れようとしたのに。

「なぁ、七葵。」
「なんですか・・・。」
「俺の、右腕を斬ってくれないか?」
「!?」

けじめ。
そう、これはけじめだ。
月読は俺を救ってくれた。
恩を仇で返しちまった。
これは、そのけじめだ。

「・・・分かった。布、噛んでて。」
「・・・あぁ。」

腕が、斬れた。
意識は、途絶えた。




     ***



そう、あの時俺は、変わったんだ。




もう誰も傷つけまいと、




他人と関わるのをやめた。




今度は人を傷つけようと。




痛みを、和らげる為に。
奴等に復讐する為に。





俺は、復讐者だ——————



司会者が何者か分かった以上、
死ぬ訳にはいかない。