ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 鎖と闇 —解き放たれた呪術師— ( No.2 )
- 日時: 2010/08/19 08:10
- 名前: 十六夜 ◆aUgcx1Sc9Q (ID: COldU63y)
- 参照: http://白柊から改名しました。十六夜(いざよい)ですvv
†プロローグ†
人には極僅かであったが、魔術を扱える者が居た。それを神の力だと言う者も居たし、逆に悪魔の力だと言う者も居た。
魔術を扱える者はある国では崇められ、ある国では迫害を受けていた。差別とも呼べるであろう。
魔術を扱える者は嘆いた。何故自分達は魔術を扱えるだけでこんなにも酷い扱いを受けなければならないのだ、と。
そんな中、1人の神が魔術を扱える者達を呼び寄せてこう伝えた。
〝お前達を虐げる人間など、全て消してしまいなさい〟
魔術を扱える者はその言葉に従い、それぞれ国を離れて一つの国を作った。
名を魔術王国。魔術を扱える者のみが暮らす王国。
人々に見つからぬ様に、空中へ浮かぶ魔術を使い空中王国となっていた。当然人々には見つからない。
そこからがその者達の復讐の始まりであった。
その者達は空からあらん限りの攻撃魔術を使い、人々を脅かした。
その者達は海へとあらん限りの召還魔術を使い、人々を脅かした。
その者達は山へとあらん限りの呪い魔術を使い、人々を脅かした。
やがて、人々は魔術の恐ろしさを知り封印をしようと試みる。
人間の死力を尽くし空を飛ぶ飛行船を作り封印の石、と呼ばれる物質を放つ。
魔術を使う者にとってはそんな物、ただの石ころだと思ったのだろう。しかしそれは石ころではなかった。
油断した1人の魔術師がその石を腕にぶつかると次の瞬間その魔術師は消えた。封印されたのだ。
人々はこれをチャンスだと考え、大勢の人々で魔術師を封印しようと考える。
賢い魔術師は考えた。このままでは永遠に争いが続き我々も人間も消えて滅びるであろうと。
そしてお互いに条件を出し合い、争いを止めようと宣言したのだ。
魔術師側の条件は自分達を崇めも迫害もせず、普通の人間として過ごす権利を与える事。
人間側の条件は魔術を争いの為に使わず、子供の魔術師には我々の作った施設で育てさせる事。
理由は子供の魔術師は人間に慣れさせる為だ。そしてそれの為に世界中の賢い人間の子供達も入っている。
魔術師側は最初はその条件を鵜呑みには出来なかったが、最終的にその受け入れる事になった。
そう、全ては平和の為に。
人々も魔術師も二度とそんな過ちを犯さないと言う事でその争いを〝災厄の因果〟と呼んだ。
そして時は現代。今も魔術師の子供と賢い人間の子供は共に施設に入れられている。
魔術師の子供はその施設を〝鎖〟と呼ぶ。身内から引き剥がされ、名も知らぬ人間と過ごす為だ。
人間の子供はその施設を〝牢獄〟と呼ぶ。身内から引き剥がされ、名も知らぬ魔術師と過ごす為だ。
そう、人々と魔術師は未だ完全なる和解をしていなかったのだ——————