ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 鎖と闇 —解き放たれた呪術師— ( No.3 )
- 日時: 2010/08/19 11:44
- 名前: 十六夜 ◆aUgcx1Sc9Q (ID: COldU63y)
- 参照: http://白柊から改名しました。十六夜(いざよい)ですvv
第一話 真夜中の街
時は20XX年。場所はNYの街。
辺りは漆黒の深い闇に包まれている。つまりは真夜中で、光も差さない夜だった。
昼間では暑いくらい暖かい気候であった街は夜により一気に冷え込んでいる。吐く息も白い。
「ようやく着いたな……」
1人の少年が〝welcome!!〟と描かれた看板を見て笑っていた。この街の人物では無くどうやら旅人の様だ。
容姿はハニーブロンドの肩まであるボブショートヘアに鋭い黒色の瞳、と外人らしい至って普通の外見だ。
外見年齢は15、6歳ほどで何処か幼さを残す顔立ちと色白さがあった。
しかし少年を普通だとは語りきれない、変わった服を着ている。
黒色の七部袖の上着に黒色のズボンに黒色の革靴……とにかく黒色だらけであった。
しかも何より七部袖の肩の所には金色のローブボタンの様な物が着いてあり、其処から足まである長いマントが着けられている。
そして少年の右頬にはタトゥーとは違う紅色の十字架の模様が着いていた。
「此処まで来れた……後は日本に居るアイツと合流するだけだな」
そう言い、ホッとした風に溜息を着く少年。何処か固かった表情が少し柔らかくなった。
カサッ……すると、看板付近にあった雑草の周りから何かが動く音がする。
少年はそれを聞き逃さず、すかさずマントから、 銃 を取り出す。
雑草の周りが突然消されるロウソクの火の様に揺れ、次の瞬間少年の目の前に…………
黒色の、魔物が現れた。
形状は二足歩行をするドラゴン、と言ったところだろうか。黒色のザラザラとした皮に背中には羽、ギラリと光る淀んだ金色の瞳。大きさは約2m程。黒色の大木のような腕に灰色の手には人一人殺せそうな鋭く太い鉤爪。
そして明らかに少年を殺そうと言う殺意を持った瞳を向けている。
「出て来やがったな…………」
少年は舌打ちをすると銃に弾を入れる訳でも無くすぐに魔物に銃を向ける。
一方で魔物はすぐに少年の方へ飛び、鋭い鉤爪を少年の心臓めがけて向けていた。
そして少年は何のためらいも無く銃の引き金を撃つ。
グシャ…………魔物は通常では有り得ない音を出してその場に倒れ付す。既に生きては居ない。
少年は慣れている、と言う風で指を十字架に切ると銃をマントへしまって街の中へと入って行く。
(待って居ろよ……光の魔術師。俺らと共に〝災厄の因果〟を復活させるんだ……!!)
心にそんな事を呟き、強く拳を握りながら。