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Re: 鎖と闇 —解き放たれた呪術師— ( No.8 )
日時: 2010/08/23 22:29
名前: 十六夜 ◆aUgcx1Sc9Q (ID: COldU63y)
参照: http://白柊から改名しました。十六夜(いざよい)ですvv

そして少年は暫く歩き、やがて先ほど来た街を過ぎて何も無い荒野へと来た。
道に迷ったわけでは無いのか、少年は安堵感から来る溜息を着き不思議な円を地面に書く。

「ようやくか……」

そう呟きながら慣れた手つきでチョークらしき白色の物で模様を書いてゆく。
形は円の中に十字架が書かれ、十字架の周りに三角形を重ねた様な形の絵が書かれていた。

すると少年は目を瞑り、両手を合わせて円の中へと立つ。

「ワープ」

そう呟くと同時に頬にあった十字架の模様が蒼白く光り、眩しいほどの光となった。
少年は口角を上げ、笑みを溢すと次の瞬間蒼白い光に包まれて消える。

辺りには何も無かったかの様な、真夜中の荒野だけが残った——————





そして、少年は目を開ける。目に映る街は見た事も無い建物の多い街だ。
確か日本語では〝トウキョウ〟とか言うんだったっけな……とそんな事をぼんやりと少年は考えた。
そう、先ほどの術を使ってやって来たのは日本の首都、東京。どうやら此処が目的地らしい。
まだ真夜中の暗い闇に包まれている東京は、良いつぶれた若者の姿すら無かった。



「ミハエル=シュネッガーの名にかけて見つけてやる」

ミハエル、はそう言うと不敵に笑う。黒い笑みという表現が一番適していた。
そして黒いマントを翻すとまるでこの街を知っているとでも言うかの様に堂々と歩き出す。
彼のハニーブロンドの髪と、雰囲気のみ夜に溶け込めず不思議な雰囲気を生み出していた。

勿論ミハエルはそんな事などは全く気にせず我関とせず、と言う風に歩いている。
不自然なほどに東京には人がいなく、大都会には珍しい事だと思えた。
ミハエルは暫く歩くと突然マントを脱ぎだしてマントに入っていた銃をポケットへと入れる。
そして脱いだマントは驚くほど小さく畳まれ、ポケットへと入った。



「日本は暑いな……」




そんな事を呟いて、少年は突如闇の中へと溶け込んで行った…………