ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜アビリティ・ワールド〜 ( No.10 )
- 日時: 2010/08/21 17:13
- 名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)
07【襲撃 百宮学園高等学校】
月曜日
会社の仕事も気になるが、学校だけは避けられないものだった。
天馬は8時過ぎに教室へ入室し、生徒とあいさつを交わすと席に座りため息をつく。
「気になるなぁ・・・」
外を見ながらつぶやいていると、七海が後ろから声をかけてきた。
「休日何してたの?友達の家に泊まってたと聞いたけど・・・・」
「そのまんまだよ。友達の家。」
天馬は鞄から教科書やノートを出し、机の中に入れると時間割表を見る。
1時間目は全校集会となっている。
恐らく、クライムが起こした一之瀬高校の生徒暴力事件の件だろう。
天馬は1時間目から面倒くさくなり、大きなため息をつくと同時にチャイムが鳴り響いた。
「天馬、全校集会だから体育館行こう!」
「うん。」
天馬は元気のない返事をすると、七海とともに体育館へと向かった。
**********
百宮学園 正門前
閉まった門の前に、クライム率いる‘ジャッジ’のメンバー火山、柳沢、志村がいた。
「ここが・・・・百宮高校か・・・・・」
「火山、本当にここなのか?」
志村の質問に、火山は大きく自信を持って頷いた。
「当たり前や。あの会社の社員の餓鬼、ここの生徒らしいでっせ。」
「ここを襲えば、奴らも大慌てで来るだろう。」
クライムはそう言うと、振り向いて柳沢の方を見た。
ロングヘアーに長身スタイルの柳沢は首を傾げる。
「烈香の瞬間移動で体育館屋根上に移動し、生徒全員を襲う。どうやら、体育館で集会らしい」
クライムは校舎から体育館に移動する生徒を見ながら言った。
「行くぞ!!」
クライム、火山、志村は柳沢の肩を持つと、その場から一瞬で消えた。
**********
体育館
校舎と隣接して並ぶ体育館には、生徒及びに教職員総勢400名が集っていた。
校長が壇上に登ると同時に、周りは勝手に静まり返る。
「皆さん、おはようございます。今日は先週起こった一之瀬高校の暴力事件のために集まってもらいました。」
やっぱりその話か・・・
勘が的中した天馬は、真相を知っているので耳を傾けなかった。
1時間目は楽に過ごせそうだ。
天馬がそう思ったその時だった。
ズドォォォォォン!!!!!!!!!!
突如、轟音とともに体育館の屋根が崩壊。
瓦礫が生徒たちめがけて降ってくる。
「きゃぁぁぁぁ!!!!!!」
「うわぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
生徒たちは大声を出して、出入り口めがけて走りだす。
しかし、天馬は上を見上げて表情を変えた。
瓦礫に紛れ、4人の人間が飛び降りてくる。只者ではない。
「能力者・・・・クライムか!!!」
天馬は紫色の髪をしたクライムと目が合い、クライムも天馬を見るとニヤリと笑った。
「いたぞ・・・・」
「やったるでぇぇぇ!!!!!!!」
火山は体を炎に包みこみ、そのまま天馬に突進してきた。
「あ、あいつも炎を!?」
天馬は両手から炎を出すが、意味がないことを理解しその場から逃げる。
それに、能力のことが一般市民に気付かれたら大変なことになる。
「火山と太陽は奴を捕まえろ。俺は、校舎を破壊する。」
クライムはそう言うと、隣にいた柳沢に触りその場から消えた。
志村は落ちゆく瓦礫を足場にし、そのまま床に着地すると火山とともに天馬を追いかけた。