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Re: 〜アビリティ・ワールド 第1章 断罪〜 ( No.11 )
日時: 2010/08/21 21:01
名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)

08【友を守れ VS志村太陽】

急いで体育館外に逃げる生徒たちに紛れ、天馬は校舎の中に駆け込んだ。
後ろからは火山と志村が追いかけてくる。
「わいは上から行くで!」
火山は走りながら体を炎に変え、そのまま屋上へと飛んでいく。
黒いジャージ姿の志村は、両手を刃物に変えて校舎へと駆け込んだ。
「だ、誰だ!?」
1階の職員室前に男子職員が立っていた。両手を刃物に変えた志村を見て呆然としている。
「法を犯していないが、貴様は死ぬ運命だ。」
志村は男性職員に向かって走り出すと、そのまま刃物を心臓に突き刺す。
「ぎゃ・・・・あっ・・・・・」

バタッ!!

心臓を刺された職員は即死。志村は刃物を抜くと、そのまま階段を駆け上がり2階へと向かった。


**********


2階 1年生フロア


自分の教室である1−2の教室に逃げ込む天馬。
すると、聞き覚えのある声が聞こえて振り向いた。

「天馬!!何してんの!?」

「な、七海!?」
廊下には天馬の後を追ってきた七海がいた。
天馬は急いで七海を教室へ入れると、静かにドアを閉める。
「なんでここにいるんだよ!!」
「なんでって、こっちのセリフよ!!天馬、何してんの!?」
七海の質問に、天馬は答えることができない。
しかし、この状況で超能力の存在を隠し通すのは無理だろう。
相手は4人。どう考えても1人で太刀打ちできない。
「亜樹さん達が来れば・・・・」
連絡をしたいが、携帯は自宅。
これは絶体絶命というものだ。かなりやばい。
天馬はとりあえず、七海を避難させようと考える。
「七海、お前は急いで逃げろ。ここは危ない。」
「天馬も一緒に・・・・」


ガシャァァァァン!!!!!


突然、教室にガラスが割れる音が響く。
教室のドアが豪快に破壊され、ジャージ姿の志村が入ってきた。
「見つけた・・・覚悟しろ・・・・」
七海は志村の両手を見て表情を変える。
「な、なにあれ・・・・」
七海は天馬の手を握りしめ、脅えているのが分かる。
「友を守りながら戦えるのか?同志よ・・・・」
「同志・・えっ?」
七海は天馬の顔を見て唖然とした。
天馬は七海を自分の後ろに隠れさせると、躊躇なく両手から炎を出す。
七海は天馬の行動に呆然とし、口を開け驚いている。
「天馬・・・・嘘・・・・」
「俺は・・・七海を守る!!!」
天馬は両手から炎を噴射しながら志村に向かう。
「ふふっ。それでこそ能力者だ。」
志村は刃物を構え、天馬に向かって走り出す。

「おらあぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

「おぉぉぉぉぉ!!!!!!」

真正面から炎を喰らう志村は、一度は怯むが軽快な身のこなしで天馬の懐に回った。
「くたば・・・・」

「えぇぇい!!!!」

志村が刃物を天馬の腹部に突き刺すその時、志村の後頭部に机が振り下ろされた。
「うがっ!!」
志村はその場に倒れ込み、頭を押さえて転がり回る。
「七海!!今のうちだ!!」
「うん!!」
七海は持っていた机を投げ捨てると、天馬とともに教室を飛び出した。

「うっ・・・・くそがっ・・・・・」
志村は刃物を杖代わりに立ちあがると、急いで教室を飛び出し後を追った。