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Re: 〜アビリティ・ワールド 第1章 断罪〜 ( No.17 )
日時: 2010/08/22 08:54
名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)

09【必殺奥義 音破】

1−2の教室を飛び出し、天馬は七海とともに1階へ向かった。
階段を一気に下り廊下に出ると、職員室前で見慣れた顔の職員が倒れていた。
「うそ・・・・相川先生・・・・」
七海は口を抑えて涙を流す。
1年の英語担当をしている相川は、心臓部分から血を流してすでに息絶えていた。
「い、行こう!!とにかく体育館へ戻るんだ!!」
「なんで!?学校の外に出れば・・・・」
「外に行けば・・・被害が大きくなる・・・・」
天馬は七海の保護をしつつ、周りへの被害を最小限に留めることを考えた。
それに、応援が来ることを信じなければならない。

「走れ!!」

天馬は七海の腕を掴み、外へ飛び出す。
体育館は屋根が崩壊しているが、中は多少はまだ大丈夫のはず。
2人は崩壊した体育館に駆け込み、そのまま身を潜めたのだった。


─────


校舎 屋上


屋上には、クライムが逃げゆく生徒たちを見て微笑んでいた。
「・・・・それでは、始めようか。」
クライムは両手を静かに合わせると、目を閉じ集中し始める。
柳沢に火山は、ある程度百宮高校から離れた場所に逃げた。
「太陽は大丈夫だろう・・・・」
クライムはそうつぶやくと、目をカッと開き、両手を拳に変え地面にたたきつけた。
その瞬間だった。


ゴッ!!



ゴゴォォォォォ!!!!!!!



クライムが殴った個所を中心に、校舎が大きく揺れ始める。
除々に多数の亀裂が入り、校舎すべての窓ガラスが一気に割れた。
「必殺奥義 音破。」
クライムがそう言うと、隣に瞬間移動で柳沢が現れた。
「逃げましょう。ここまでやれば、奴らも来るはずよ。」
「あぁ。そうだな。」
クライムは柳沢の手を掴むと、柳沢と共にどこかへ瞬間移動した。

**********

校舎すべてのガラスの破片は地面に飛び散り、周りからは悲鳴が上がった。
門の外に逃げた生徒、教職員は崩壊寸前の我が校舎を見て呆然としていた。

「ここよ!!」

その時、生徒を掻き分け亜樹と三郎、算介の3人が現れる。
「ここって・・・天馬の学校じゃないか!?」
三郎は驚き、算介もその言葉を聞いて表情を変えた。
「クライムの野郎だ・・・やばくないか?」
「行くわよ!!」
亜樹は門を潜り抜け、先陣を切って走りだす。
三郎も亜樹の後を追うように門を潜り抜けた。
「えぇ!?めんどいな・・・・」
算介は渋々2人を追いかけ、学園内へと足を踏み入れた。


***********


体育館


「だ、大丈夫?」
天馬と七海は体育館の瓦礫に隠れ、どうにか落下してきた大量のガラスの破片を凌いだ。
「私は大丈夫だけど・・・・校舎が・・・」
2人は目の前に建つ校舎を見上げ、悲しそうな表情に変わった。
まだ1年生で、そこまで思い出も詰まってないが、自分たちの高校がこんなことになろうとは・・・。
天馬は怒りを覚え、クライムの顔を思い浮かべた。
「くそ・・」
天馬は立ちあがると、今にも崩れそうな校舎へと足を進める。
「ちょ、天馬!!」
「七海は逃げろ。俺は行くよ。」
七海は天馬の初めて見る勇敢な後ろ姿に、なぜか悲しみと孤独感を感じた。

私と天馬は違う______

「・・・・分かった。気をつけてね・・・・」
「おう。」
七海は下を俯きながら生徒たちが逃げた方向へ走って行った。
天馬は七海を見届けると、校舎を見上げる。
「絶対許さねえ。」
天馬はそう言うと、両手から炎を出し、再び校舎の中へと駆け込んだ。