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Re: 〜アビリティ・ワールド 第1章 断罪〜15話UP♪ ( No.29 )
日時: 2010/09/06 19:53
名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)

特別ファイル01【神谷零 暴走事件その1】


時は遡り20年前______


「これにて、就任式を閉会する!!」
アメリカのとあるシークレットルームで行われた就任式がちょうど終わる。
壇上の上には、まだ若い冥堂とマルコの2人が立っていた。
「では、これからよろしく頼むよ!!」
アメリカ合衆国大統領ライリー・ロックウェルは2人に握手をしながら満面の笑みで頷いた。
冥堂とマルコも笑顔で握手をすると、大統領にお辞儀をしながら壇上を降りた。
「ついに、社長まできたな。冥堂。」
「あぁ。マルコスは千葉支部だろ?私は東京支部だし、何かあったら助け合おうな。」
冥堂の言葉に、マルコは微笑む。
「ま!そんなに大きな事件も起きないよ。能力者だって、最低でも殺人までしか犯すことはない。」
マルコスはそう言うが、冥堂は首を横に振る。
「分からないだろ。世界征服やとんでもないことを企む奴も何れ出てくる。」
冥堂の言葉に、マルコスは腹を抱えて大笑いした。
「そんな時代遅れの奴、今どきいるか?」
この時、冥堂もつられ笑いした。

しかし、2人はその後気付くことになる。

現実になるとは思いもしなかった______


***********


就任式から10年後


「ほ、本日から入社しました神谷零です!!よ、よろしくお願いじまっ!!」
冥堂の前に立つ新人社員、神谷零は舌を噛んで涙目になる。
零の隣には、当時のAチームリーダーである山本優輝が立っていた。
「かなり頼りないですが、能力や実力は本物です。」
「ほう・・・何が使えるのかね?」
冥堂の言葉で、神谷はポケットから蝶の亡骸を出した。
「僕の能力は、命を取り戻す死者転生という力です。」
神谷がそう言うと、ピクリとも動かなかった蝶は元気よく羽をばたつかせて飛びまわった。
冥堂は驚いた表情で感心すると、神谷に左手を差し出す。
「君の能力で、世界を、みんなを助けて行こう。」
「はい!!」
冥堂と神谷は握手をし、山本はそれを横で見守っていた。
冥堂はこの時、神谷が将来良い能力者になることを確信した。
だが、それは思い込み。
そして、事件は神谷が入社して5年後に起こったのだった。


**********


「山本リーダーが死亡!!!メンバーも全員絶命しました!!!!」
雨が降る中、アメリカの砂漠地帯に任務で訪れていたAチームに問題が発生した。
冥堂は東京支部でその連絡を聞くと、情報部の人間に何があったか聞く。
「砂漠地帯で任務帰りのヘリコプターが墜落。神谷以外のAチームは全員死亡です!!」
情報部の言葉を聞き、冥堂は顔色を変えて立ち上がった。
「今から向かう!!瞬間移動を使える者はいるか!?」

「俺でいいならいいすよ。」

頼りない返事をしたのは、冥堂の隣に立っていた星宮海斗だった。
星宮は腰に刀をつけ、円と紅夜の職についている感じだ。
「アメリカの砂漠地帯に急げ!!緊急事態だ!!」
「りょうか〜い〜ぃ」
緊急事態にも関わらず、星宮はだらしのない声を出すと冥堂の方に触れ、そのまま砂漠地帯へと瞬間移動した。


**********


アメリカ 砂漠地帯


閑散とした砂漠の真ん中、青い空に延びる黒い煙。
燃え盛るヘリコプターの近くに、うずくまって倒れている神谷がいた。
「神谷!!」
瞬間移動で現れた冥堂と星宮は、すぐ様神谷に駆け寄る。
その時だった。

「ひゃっはぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

神谷が突然起き上がり、両手から黒い雷を出してきた。
「なっ!!おわぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
星宮は刀でガードするも耐えきれず、そのまま10メートルほど弾き飛ばされた。
冥堂は言葉が出なかった。神谷の能力は死者転生のはず。
なぜ、両手から雷など出せるのだ?
それに、普段の神谷ではない。

「なぜだぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!晴香ぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

神谷は両目から涙を流し、ヘリコプターの方を向く。
「あいつさえいなければ!!晴香は死ななかったのだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
神谷は泣き叫び、両手から黒い雷を出して燃え盛るヘリコプターを攻撃する。
冥堂はただ、その光景を呆然と見ることしかできなかった。
「一体なにがあったんだ!!!!」
冥堂は大声で神谷に叫ぶが、神谷の耳には届かない。
完全に理性を失い、闇雲にヘリに向かって攻撃を続ける。
中にはAチームの3人の遺体がある。
「これ以上・・・・させるものか!!!!!」
冥堂は両手から光を放つと、眩い光の中から金色に光る槍が出てきた。
「ホーリースピア!!!」
冥堂は光の槍を神谷に投げつけ、2人の戦いが始まった。





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