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- Re: 〜アビリティワールド〜第1章 選ばれし能力者 ( No.8 )
- 日時: 2010/08/21 13:35
- 名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)
05【断罪能力者集団‘ジャッジ’】
水茂を捕獲した3人は、会社の連絡をして応援が来るのを待った。
応援を呼んだ理由は簡単。
三郎が先ほどの戦いで車を破壊。そのせいで帰る方法を失ったのだ。
「後30分で着くって!」
「マジかよ・・・腹減ったな〜ぁ。」
三郎は空腹で力が出ず、その場に座り込んでしまった。
しかし、空腹は亜樹と天馬も同じだった。
辺りはすでに夜となり、ただでさえ人気がない場所なので恐怖感が結構ある。
「・・・うっ・・・・・」
手錠をかけられた水茂は呻き声をあげながら目を覚ました。
「お!起きたぞ!!」
「・・・・てめぇら、ぶっ殺すぞ・・・・」
「はいはい!!」
亜樹は水茂に近づき、語尾を強くして右手から電撃を繰り出した。
「ぎゃぁぁぁ!!!や、やめろって!!」
水茂は悲鳴を上げながら立ちあがり、大破した車の後ろに回る。
「ご、ごめんなさい!!知ってることはなんでも話します!!!」
水茂は膝を地に付け、手錠をつけたまま3人に軽く土下座した。
「知ってること?じゃあ、クライムの居場所は?」
亜樹は水茂に最初の質問をする。
水茂は頭を上げると、首を横に振った。
「お、俺はあいつについては一切知らない。ただ・・・組んでるだけだ・・・・」
「組んでる?どういうことだ?」
三郎が質問すると水茂は立ちあがり、ある言葉を言った。
「断罪能力者集団‘ジャッジ’」
3人はその言葉を聞いて顔を合わせ、首を傾げた。
「な、なんですかそれ?」
敵にも関わらず、天馬は水茂に敬語を使う。
「クライムも合わして5人組の能力者グループ。通称‘ジャッジ’と称して、不良や犯罪者を倒してんだ。」
「それって・・・じゃあ俺らにとって敵なんですか?」
「う、う〜ん・・・・・」
亜樹と三郎は敵の言うことが信じられないが、本当だとすればどう対処すればいいのか悩む。
「とりあえず、お前は‘アビリティ’が拘束する。」
三郎がそう言った時、前方から一台の車がやってきた。
「三郎!!亜樹ちゃん!!天馬君!!」
車は4人の前で止まり、中から‘アビリティ’の社員である篠左記冥が出てきた。
「冥!こいつも頼むぜ!!」
「了解だ!!」
冥は水茂を助手席に乗せ、ほかの3人は後部座席に乗り込んだ。
そして、会社へと急いで戻って行ったのだった。
─────
廃ビル 屋上
屋上の段差に右足を乗せ、天馬たちを乗せた車を見届けていた男性がいた
「行きやしたぜ!兄貴!!」
丸刈りにタンクトップという姿をした男は、後ろを振り向きながら言う。
すると、廃ビルの暗闇から月明かりに照らされ2人の男性が出てくる。
「算介は?」
「連れていかれやした。どないしますか?」
男は関西弁が混じった言葉で、紫色の髪が特徴的であるクライムに言う。
「・・・烈香を呼んで作戦を練る。あいつらは邪魔ものだ。我々が制裁を下す。」
クライムはそう言うと、隣に並んで立っている男の方を向く。
「行くぞ、太陽。」
太陽と呼ばれる男はクライムの後について行き、そのまま闇の中へと消え去った。
「わいも行くか・・・」
取り残された男は一人つぶやくと、体を火に変えその場から跡形もなく消えた。