ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 銀の炎 <オリキャラ募集> ( No.45 )
日時: 2010/10/10 19:22
名前: 杵島 茄武 ◆wWr1IKfGtA (ID: EUGuRcEV)

第12話 『逃亡』 前編
バカに冷える雪の降る日、
シーボルトの元で働いてしばらくした。シーボルトは倉庫から出てきて、クロムに言った。

「のう、ノマリと一緒に町へ下りて、足りない食糧を買って来てくれぬか」

「ええ、分かりました先生、買ってきます」

「ああ、くれぐれもポリスロイドには気をつけてくれ。
奴は警察の服を身に着けた人間とそっくりなロボットだ。
お前だと、見つかると強制牢獄だからな」

クロムはノマリと一緒に町へ降りて行った。町の市場はにぎやかで、特産品の剣や鉾が売られている。

「ここの国は随分と物騒だな。剣が売ってあるよ」

「ここジョレントスクは鉱山が自慢な所ですから、質の高い鋼鉄、青銅などが採れるんです。」

クロムは市場の剣を見た。
どれも装飾が施されてあって、とてもではないが、戦闘向きとはいえない。


よりいっそう雪が降り始め、クロムとノマリは近くの喫茶店で暖を取ることにした。
そこでクロムの隣の机の席に、大柄な男達が2人、話していた。

「蛇女ってここらの山にでるんだろう?」

「そりゃそうさ、今度山へ行って俺が撃ち殺してみせるぜ。
なんたって蛇女は鉱山で密行すると食われちまうらしいからな」

「ここだと、イエティ(雪男)ビックフット(白い怪物)も出そうだ。」

クロムはこの話を聞いて、ノマリに尋ねた。

「蛇女って本当にいるの?」

「僕には分かりませんけどね、誰かが流した噂でしょう」

「ふん……そういえば、今日買う物はなんだ?」

「ええと、私たちが買うのはジャガイモと卵と、ベーコンと……」

ノマリがメモを見ていたとき、クロムの背中に銃が突きつけられた。
クロムはポリスロイドだと感ずく。

「オイ、外国人ダナ。ナゼジョレントスクニイルノダ?」

クロムは涼しい顔で答えた。

「外国人がここにいてはだめか?」

「署ニテ同行願ウ」

そこら中にいたポリスロイドがクロムに集りついて、銃を突きつけ、
クロムを署まで連れ去ろうとする。

「クロムさん!」

ノマリはクロムを助けようと短剣で飛び掛った。
だがポリスロイドは頑丈だ。ノマリの護身用のセラミック刀は折れてしまった。
残りのポリスロイドはノマリを拘束した。
周りの人はたちまち野次馬に変わり、心配そうに見つめる。
ポリスロイドが周りをきょろきょろと警戒している束の間に、
クロムはポケットから黒い玉を落とした。
黒い玉はたちまち煙幕と化し、ポリスロイドはクロムを見失ってしまった。
クロムは一目散に逃げていった。

クロムは南の山へ、大体2kmぐらいだ。そこへ逃れよう、
隠れ場所ならいくらでもあると思ったからだ。
蛇女がいるとされる鉱山へ—

だが、短い距離のはずだが、進んでいくにつれ、積雪がどんどん増えていく。
雪で足がとられていき、寒さも、逃げていくにつれ、厳しくなってきた。
クロムは後ろを振り返った。ポリスロイドは今のところ姿は無かった。

クロムは防寒対策をしていなかったので、次第に気が遠のき始め、サイレンの音が聞こえ始めた。
ポリスロイドが追ってきたのだ。
クロムはやっとの思いで立ち上がり、ふらふらと逃げる。

クロムの500m先あたりに、子供がやっとの思いで中に入れる洞窟がある。


クロムはその中へ姿を隠した。