ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 銀の炎 <オリキャラ募集> ( No.51 )
日時: 2010/10/13 17:39
名前: 杵島 茄武 ◆wWr1IKfGtA (ID: EUGuRcEV)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

第13話 『蛇女』

その獣人間は、ユキヒョウの毛皮をまとっていて、
腰まである豊かな白に近い金髪を持つ少女だ。
少女はクロムに自分のベッドに座らせるようにし、
無言でホットミルクを渡した。

その手の甲は、皮膚が松の幹か鱗のようになっていた。

そして少女は暖炉で火をくべていた。

「どうもありがとう、助かった」

「それはどうも」

少女はそっけなく答え、鍋の中に水を入れ、暖炉の中に入れた。

少女は赤々と燃える火をただ見ていた。

「おい、どうしてそっちを見ているんだい」

「こんな顔誰だって見たくないわ」

「いや、僕は見たいと思うよ」

「見ても逃げ出さない?」

「ああ、逃げ出すものか」

少女は一旦髪の毛を掻きあげると、クロムの前に立ち、下を向いていた。
そして腕を胸辺りまで上げ、いきなり「わっ」大声を出してクロムを脅した。

その少女の顔の頬は乾いていて、皮膚が固まった鱗のようにひび割れていた。

「あたしはスクイックってんだ。お母さんと蛇の間に生まれた子供なんだってね」

クロムはジョーの顔を見ても驚かなかった。ジョーはさらに腕をまくった。
腕の外側は全て鱗で覆われていた。

クロムはミルクを少し飲んで、少し目線が宙を舞う。

「蛇女がこの山に住んでいるとかいう噂を聞いたよ。あんた、鉱山で密行する人を捕まえて食べるのか?」

ジョーは鼻であしらった。

「ふん、毛むくじゃらで汗臭い男なんかに興味は無いわ。
大体は行き倒れて凍え死によ…………それにね、冬なんか蛇は冬眠するのよ!

アタシなんて、ピンピンしてるわ。」

「じゃあ、どうして僕を助けたんだい」

スクイックはクロムの顔を見て、微笑んだ。

「だって、外国人でしょ、どんなものか興味深いから」

クロムは一瞬むっとしたが、気を取り直してスクイックに尋ねた。

「ずっとこんな内陸に住んでるのかい」

「今はね、昔は隣町にいたけど、あたしが大きくなるにつれ、
いじめられる度合いが大きくなる。お母さんにこれ以上迷惑をかけないって決めたわ。
だから、秘密で逃げた。今は死亡したって政府も適当に手を打っているでしょうよ。
ここって鉱山の丁度窪みにある内陸だから、誰にも見つかりゃしないわ。」

「このログハウスもあんたが作ったのか?」

「あんた、根掘り葉掘り聞くのね、まあいいけど。そんなわけ無いでしょう。
アタシの祖父がここで働いていたから、使ってるだけ。後は自給自足」

雪が深々と降る中、クロムはスクイックの蛇のような腕を、
しげしげと見て、またベッドに深く腰掛けた。

「いろいろと大変だね」

他人事のようにクロムはぼやいた。クロムは曇った窓ガラスを静かに見ていた。