ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 銀の炎 <オリキャラ募集> ( No.56 )
- 日時: 2010/10/24 19:07
- 名前: 杵島 茄武 ◆wWr1IKfGtA (ID: EUGuRcEV)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
第14話 『確保』
クロムはそういって、ログハウスを出ようとした。
「待ちなさいよ、お弟子さん。外は寒いわ、この外套を着て」
スクイックに差し出されたのは、クリーム色の毛皮の外套だ。
「ありがとう」
クロムはそういって、外套をはおり、ログハウスを出た。
あまりにも外のまぶしさで、クロムは一瞬目がくらむ。
だが、少年は例の洞窟へ足を運んだ。
案の定コウモリは騒ぎ出したが、クロムには近づかなかった。
クロムは前かがみになり、クロムはその瞬間我に帰る。
ポリスロイドだ!まだそこらをうろついているかもしれない。
もしかしたら、洞窟の中にも……
そう思うと、クロムは息を殺し、抜き足差し足で、細い岩の通路をくぐった。
ほふく前進で、出口から顔を少し出す。安全を確認すると、クロムは外へ出た。
そして、駆け足でシーボルトの家へと走った。
「サキホドノシンニュウシャ!」
まずい、ポリスロイドだ!クロムは、またも煙幕を使おうとしたが、
コウモリの襲撃で、洞窟に落としてしまったのだ。このまま逃げても、追跡されるかもしれない……
戦うのか?矢もバスタードも、シーボルトの家に置きっぱなしだ!
ちくしょう!
短剣しか持っていないとは……クロムは少し後悔をしたが、
ポリスロイドはクロムに向かってレーザー銃を突きつけた。
「スグサマカクホスル!」
ポリスロイドの一人が小型バズーカを持ち、クロムに向かって発射した。
そのミサイルはたちまち網へと化し、クロムを取り巻いた。
クロムは冷静になろうとするが、その猶予は無かった。
ポリスロイドは網の先にある縄をひょいと担ぎ、人気の少ないところを通っていった。
クロムは短剣で網を切ろうとしたが、頑丈で切れない。
大声で叫ぶか?いや、馬鹿げている。
すると、クロムにとって見覚えのある岩が、クロムの目を過ぎる。
いや、似ている岩か?クロムの目に何か見えた。窓だ。
放心状態のクロムに、その窓は普通の窓とは思えなかった。
そう、そこはシーボルトの診療所だった。
あまりにも人目につかないところなので、ポリスロイドはそこを通ったのだ。
なんと幸運だ。
クロムは大声を張り上げた。だが、シーボルトもハヌーネも別の場所にいるのか、
診療所のドアに反応は無かった。
クロムは出来るだけ大声をあげたが、果たしてポリスロイドはクロムの口を布で押さえる。
布から睡眠ガスがクロムの口を通り、クロムの意識が遠のく。
「シズカニシロ、ソシテネムレ」
ポリスロイドはクロムが眠ったことを確認し、また歩き出した。
クロムの大声以降、ポリスロイドは足音を消した。
(ポリスロイドの足の裏は、強力な磁気で、地面から足を浮かしている。
だから、足音はまったくしないのだ。ドラ○△□と同じ代物ってわけ)
シーボルトの診療所は離れるにつれ、クロムから見える景色は黒へと変化していった。
そのせいもあり、幻聴か?獣の声、ピストルの音、爆発音がクロムの耳を刺激した。
そして、クロムの身体に一瞬だが鈍痛が走った。
でもクロムは何のことか分からず、ただ暗闇がクロムを支配するだけであった。