ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 銀の炎 <オリキャラ〆切近し!> ( No.65 )
日時: 2010/10/28 22:59
名前: 杵島 茄武 ◆wWr1IKfGtA (ID: EUGuRcEV)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

第16話 『ショック』

数日後のことだ。
クロムは先に洞窟の入り口を抜け、次にシーボルトの医療器具を洞窟の中へと押し込み、
クロムがキャッチする。

そして最後に、やっとの思いでシーボルトが入り込む。
そして、ピラニアコウモリの大広間へたどり着く。
クロムとシーボルトは最後にスクイックから借りた外套を2人で背負うようにはおった。

ピラニアコウモリはシーボルト達に攻撃をしようとしたが、
外套のせいでピラニアコウモリは近づけなかった。

1匹のコウモリはシーボルトの膝をかじったが、シーボルトは息を殺して、ただ出口へと進んでいった。

出口が近づくにつれ、光がまぶしくなる。クロムとシーボルトは顔をしかめ、
例のログハウスへ直行した。


ドアをノックし、ガチャリと開けた。
蛇女のスクイックがクロムとシーボルトに握手をし、挨拶をした。

「いらっしゃい、ウィザードさんたち」

「やあ、スクイック。僕の先生で、シーボルトだ」

「あら、こんにちはシーボルト先生」

「どうも、スクイックさん、早速だが、診察してみよう」

シーボルトは、聴診器、注射器などの医療用具をテーブルの上にささっと並べ始めた。
そして、折りたたみベッドを広げ、スクイックをそこに寝かせた。

クロムも要領がよく、医療用具の名前なんか簡単に覚えた。
だから、シーボルトが何か医療用具を言えば、クロムは手際よく用具を渡すのだ。
シーボルトは、床に落ちている蛇女のうろこを1枚手に取り、
顕微鏡で作業し、一息ついたところで、シーボルトはスクイックに言った。

「魚鱗癬というものは、ほとんどが男子に発病する。
だが、発病例もあまり聞いていない。もってのほか女子は極めて少ない……
よろしい、手術をしてあげよう」

「え……」

スクイックは、少したじろいだ。何か動揺を隠せない様子だ。

「痛い事されるのでしょ?」

「うむ、まあ少しの辛抱だがな」

「いやよ!」

スクイックは壁に手を当てた。そして、首を横に振った。
クロムはスクイックをなだめたが、スクイックは聞こうとしなかった。

「私……アレルギーなの。手術の麻酔のね。
麻酔を少しでも打つと、ショックを起こしてしまうわ……」

涙ながらに訴える少女に、シーボルトは、片方の眉を少し上げた。

「つまり、アナフィラキシーショックだね?」

「そのようね」

「ふむ……」

これは厄介な事だ。麻酔がなければ手術なんぞ出来ない。
スクイックの病気を治すためには、麻酔は必要だ。
シーボルトは考え込んだが、何も解決策は無かった。
見かねたクロムは、シーボルトの鞄の中から、1冊の本を取り出した。

そして、シーボルトに耳打ちをした。そのことを聴いた瞬間、シーボルトは、目を見開いた。

「そうか!その手があった!スクイック、麻酔薬でショックを起こさせない方法がある、待っててくれ」

そういうと、シーボルトは一目散にログハウスを出た。