ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 銀の炎 <記念ピクチャー作成> ( No.76 )
- 日時: 2010/11/07 17:56
- 名前: 杵島 茄武 ◆wWr1IKfGtA (ID: EUGuRcEV)
第19話 『詩』
「うむ……」
先に目を覚ましたのはクロムだ。ひどく頭痛がしたので、目を覚ましたのだ。
シーボルトはまだ眠っている。
クロムは布団をめくり、階段を降りようとした。
もちろん、ログハウスはスクイックとクロムとシーボルトだけなのに、
スクイックは何か喋っているようだ。
クロムは不審に思い、ドアを少し開けて、スクイックの様子を伺った。
スクイックは西側の窓を見ながら、何か話しているようだ。
「過ぎ去りし 昔に 汝はかごの鳥
……謎を解くのは私ではないわ。財宝のありかはこの詩に隠されているはずよ、ドルフィ」
スクイックは人影に気づき、いそいで口をつぐんだ。
「あ、クロム……起きていたのね」
クロムは難しい顔でスクイックにたずねた。
「誰と話していたんだ」
「別に、誰も話してはいないわ」
あくまで白を切るスクイックだが、クロムはさらに問いかけた。
「ドルフィとは誰のことだ?」
「あぁ……聞いていたの、ユキヒョウのリーダーよ」
「あ、そうだわ、クロム。この詩についてちょっと聞きたいことがあるわ」
「なんだ?」
スクイックは一枚の古びた紙切れをクロムに差し出した。こう書いてあった。
過ぎ去りし昔に 汝は籠の鳥
眸の黒に 金剛の石
陽の東に向くところに あせぬ宝があり
月の西に向くところには さめぬ金がある
「なんだ、ただの詩かい?」
「ただの詩ではないわ、数十年前にできた、まだ新しい詩よ」
「それがどうしたんだ」
「この詩は、宝と金……財宝が隠されている地図かもしれないわ。
宝探し気分ね、クロムは何処にあるかわかる?」
クロムは鼻で笑って、紙切れをスクイックに返した。
「そんなの、僕の知ったこっちゃ無い」
「何よ、本当にあるんだってば!もし見つけたら、お宝は山分けよ」
「俺は海賊ではない。一人で探しにいけよ」
クロムはその時は相手にはしなかった。そして、その詩に手をつけている2人の人も—