ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 銀の炎 <鳥人間現る!> ( No.81 )
- 日時: 2010/11/13 21:25
- 名前: 杵島 茄武 ◆wWr1IKfGtA (ID: EUGuRcEV)
第22話 『鳥になる』
シーボルトは、ティムソンを再診察した。その再診察により、驚くべきことが判明した。
首が、常に上を向いているのだ。首筋を触ってみると、
首の骨をはさんで、2つのパイプが埋め込まれている。
どうやら、空を飛んでも、前を向けるようにしてあるのだ。
「先生、いっそのことうつ伏せにさせてください。そのほうが楽なんです」
鉄のパイプはしっかり埋め込まれてあって、簡単な手術では取り除けないことを医師は覚る。
「ああ、その必要は無い、助手と相談したのだが、手術をしてあげよう」
「本当ですか!」
「だが、条件がある」
一瞬ティムソンの顔に笑みが消えた。シーボルトは続けた。
「鳥というものは何だか分かるかね、
イチ、鳥になるのだ、人間らしいことはするな
ニ、鳥として自力で食糧を見つける、あんたはもうじき野生になるのだ。鳥としてほこりを持て。
サン、鳥となったら私たちは後のことは責任を負わない。
この条件を守れるかね」
「はい、先生。自由になれるなら」
シーボルトはゆっくりと椅子の背もたれにかけた。
「では、よろしい、手術台に乗りなさい」
クロムも駆けつけ、医療用具をせっせと出し始め、熱
気消毒をした。
「いい残すことは無いかね」
「えぇ……弟のリチャードによろしく……と」
頭にマスクをかぶせ、ティムソンに静脈麻酔を打った。
これで準備万端だ。だが、獣の毛が大量においてあった。
(多分獣舎から引っ張り出したものだろう)
クロムはたずねた。
「まずは首の棒を除去しますか」
「いや、足からだ」
手術が行われた。なにやら足の手術が施され、次に顔の整形手術が施される。
そして、首から鉄の棒を除去した。8時間の大手術だったが、ティムソンの顔は鳥の顔になっていた。
嘴、目、頭と少々頭の大きな鳥そっくりに仕上がった。
体も、茶褐色の体毛で覆われていた。
クロムもシーボルトも満面の笑みで手術が成功したことをにじませていた。