ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Hated ( No.3 )
- 日時: 2010/08/23 02:55
- 名前: 葵 (ID: NRAsdfzb)
「よーするにぃ、交換日記して下さいって意味?」
「何それちゃっちい。」
梓が意味の分からない説明を始めて数分、実玲と良樹が口を挟んだ。ちなみに私が理解できたのが悪魔がうんたらかんたらでその呪いがどーとか、とか。
まぁそのくらいしか解読不可能だったワケで。
むしろ私が気になっていたのは話の中身じゃなく、本の出所。
何処からそんな物持って来たのか。
本屋とかに普通に売っては無さそうだし、あんなボロボロだから図書館にも置いておけなさそう。
暗い灰色をした、仄かに文字が浮き出た表紙。
いつもの私ならこんなの怖すぎるとか言って教室を飛び出しそうなのに。
何故かは分からない。けど、とても。懐かしいような、そんな奇妙な感覚が私の中にあった。
「まぁ、実際やるのはそんな所。んでまぁ、この陣に皆で手をかざして、こう言うのよ。゛Hatred゛ってね。」
「気味悪い響きだねぇ。」
「やろうよ、皆早く。」
言葉にするより先に、体が動いた。
まるで大好きな玩具を目にして飛びつく子供のように、目を輝かせて。
「・・・おい、流花?」
良樹が疑問を口にする。だけど、止まらない願望。
1番先に手を伸ばしたのは梓、次に、私。
そして、続いて良樹、実玲、最後には亜矢が手を伸ばす。
そして梓が微笑むと、行くよ、と言った。
「゛Hatred゛」
これはまだ、私達が笑っていられた時のこと。
ごめんなさい、そう言うのはまだ早いけれど。
もう引く事は出来なかった。
選択肢は、絶望するか、前に進むか。
迷っている間に劇は進んでしまう、大切な物は、次々と失われてゆく。
台本に書いたシナリオを変える事は出来ない。アドリブを何かしたって、大抵は無視されてそのまま進んでしまうから。
ごめんなさい。そう言いたい。
そして、これから訪れる貴方の不幸な運命に謝りたいと思う。
行く先はBud end。
幸せな物語の最後など、ありはしない。