ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Hated ( No.5 )
- 日時: 2010/08/22 23:23
- 名前: 葵 (ID: NRAsdfzb)
「痛ったぁぁぁぁぁぁぁい!!!」
うわびっくりした。って言うか私の声かよ。
「あ、やっと起きた。」
「酷い実玲!やっとって何やっとって!!何も蹴る事無いじゃん!しかもご丁寧に足で!!
なんか今すんっげぇ悪夢見たのにどうしてくれんの!」
「うるさいなぁ。なーんか大変だったんだよぅ。あれから流花と梓も倒れちゃって。」
「え、嘘。」
「んーでねぇ、気分悪いみたいなんで保健室に連れて行くわって友達に言っといて、流花背負って此処まで来てさー。健康そうになっていびきかいてたから蹴ってみた。」
良かった。ほんと良かった。夢だったんだ。漆黒と絶望と虚無が入り混じったような世界の中、あのまま居たらどうなってたんだろう。そう考えると、不安で仕方が無い。
でも私が目覚めたのは実玲のお陰・・・なのかな、どっちかって言うと現実に引き戻されたって感じだけど。
僅かな疑問。だけど、夢である事に変わりは無かった。一旦、ほっと胸を撫で下ろす。此処まで心配なのは何故か、だってあの夢、本当の現実みたいだった。地面を蹴る感触も痛さも怖さも全て、現実だとしか思えなかった。
ぎこちない動きで自分の両手を見つめると、夢だったんだって、安心出来た。
「あー・・・なんか、ごめん。色々と迷惑掛けたみたい。」
「そうそう、ほんっと大変だったんだから!」
隣にあるのは、いつもの実玲の笑顔。
白い布団を乱暴に除ける。ほんとコレ暑いったらしょうがない。冷房が入っているとはいえ顔は汗だく。
「梓は?」
「まだ寝てる、起こそうとしても起きない。って言うか、なんか流花と違って具合悪くなってるみたいだったから、病院送り。」
「・・・、そっか。」
はぁ、と息を吐く実玲。多分、梓の事気にしてるんだろうか。私も、そうだ。
大体私、休憩時間に梓と皆と怪談話とかしてて、梓に呪いの本的なものでなんかしようって、誘われて・・・。
其処から意識が途絶えた筈。どうも、関係があるとしか思えなかった。曖昧な記憶だけれど、さっきまでよりははっきりと覚えている。
間接的な繋がりは無いとしても、やっぱり何かあるんだと思う。
ベッドに座りながら俯く。ただ、沈黙が流れた。
「良樹が流花の事随分心配してたみたいよぉ〜?」
「な、え、ちょっ、馬鹿じゃないのっ!!しかも何故このタイミング!」
「あぁうん。なんかさ、そーゆうトコ丸分かりだよね。」
「何をッ、もうやめて意味深な事つぶやかないでぇぇぇ!」
「ごめんごめん、軽い冗談。なぁんかしんみりしてたからさ。でも梓も絶対大丈夫だって。」
こういう時、実玲みたいな友達が居てくれて、良かったって思えるな。ちょっと馬路で驚いたけど。
私に気使ってくれてるみたいなら、悪い事したかなーって、思っちゃうけど。
「そうかなぁ。あの、さ。私ら倒れる前にやった事、覚えてる?」
「うん。覚えてる。」
「ちょっと夢かもーって思ってたんだけどさ。その・・・やっぱり、関係あるっぽいのかな。私、こんな事聞くの変かなぁ。」
「否定はしないよ、けど、私は無関係だと思う。」
「何で。」
「それ聞く?」
「聞く。」
「だって、常識的にありえないじゃない。もしそれが原因だとしても、今そんな事考えてる場合じゃなくて、偶然だって思う方が、気持ちは軽くなるんじゃない?
どうせ、どっちか分からないんだしさ。」
確かに、そう。だけど私は、それが原因だとしか思えない。きっと梓も、ううん絶対、私と同じ夢を見た。でも分からない、何処から夢で何処が現実?考えれば考えるほど、頭の中はごちゃごちゃに混沌していく。
「まぁ、色々と余計な事考えるのは良くないよ。もう授業終わっちゃったし、帰ろ。」
「・・・うん。」
最終的に出た言葉はそれだった。梓の様子を見に行こうかと考えた。でも、ごちゃごちゃしてる内に行っても、何にもないと思う。落ち着いてから行った方が良い。
授業も半分程度しか出ていないけれど、酷く疲れた。
梓の事は心配だけれど、それと、あの事も気になるけれど、今日はゆっくり休もう。
あとはそれから、考えれば良い—。