ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 『lost world 荒廃した世界』 ( No.15 )
日時: 2010/08/25 18:14
名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)

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マンション裏へと向かった三吉、ハヤブサ、波兎は、激しい銃撃戦の手前で足を止めた。
こちらも先ほどと同じく、暗闇からの攻撃に苦戦していた。
戦っている部隊は、桃山玲奈曹長と鷹野友一准将だ。

「三吉!!暗視ゴーグルかけてんなら戦え!!!」

光に気がついた鷹野は、マシンガンをぶっ放しながら大声で言った。
光はハヤブサ、波兎と顔を合わせると、マシンガンを両手に暗闇へと突っ込む。
敵は3人。瓦礫の裏、向かいのビルの3階、そして車の裏側。


「俺は瓦礫の裏、ハヤブサは車の裏、波兎はビル3階の奴を倒せ。行け!!!!」


光の言葉で、3人は同時に走りだした。
光は身を縮めながら素早く動き、数秒足らずで瓦礫の裏側へと回り込んだ。
相手はガトリングのせいか、動きが鈍く後ろにいる光に気が付いていない。

「おい。」

「え?」

光が声をかけた瞬間、敵は振り向き、その直後にマシンガンを撃ちまくった。

「アメリカ兵・・・・一体どうなってるんだ。」

アメリカ兵は体を撃たれ、そのまま地面に倒れ込んだ。
アメリカ兵の体から流れる血が、地面を段々と真っ赤に染めて行く。
光はアメリカ兵の防弾チョッキの胸ポケットから、手帳を取り出した。

「ドレガー部隊、アリック・オーガトス。」

手帳に書かれた名前の横に、アリックの顔写真が貼られていた。
光は死んだアリックの胸の上に手帳を乗せると、敵を探しながら前へ進んだ。


「敵を潰した!!」

「こちらも敵を倒しました!!」


光が耳につけていた無線機から、ハヤブサと波兎の声が聞こえた。
光はガッツポーズを見せると、振り向いてマンションへと戻った。


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「敵の殲滅を確認、戦いは終わりました。」

光はエントランスに戻り、集まっていた隊員たちと山本大佐に告げた。
山本が笑顔で頷くと同時に、ハヤブサと波兎もエントランスへ戻ってきた。

「死者はいませんか?」

「うむ、負傷者で済んだが・・・・・・」

山本は突然顔色を変え、振り向いて指を指した。
光がその方を見ると、1階の奥の部屋に隊員たちの集まりができていた。
ハヤブサと波兎と顔を合わせ、部屋へ行ってみると、そこには悲痛な光景が広がっていた。


「ぐ、軍曹・・・・・・助けて・・・・・・・・」


「なっ!!!!」


部屋の真ん中に、両腕を失くした男性隊員が涙を流しながら光を呼んだ。
傷口からの出血は酷く、隣にいる女性隊員も半泣き状態で医療を続けている。
どうやら、助かる見込みはないらしい。

「いやだよ・・・・・死にたく・・・・ないよ・・・・・」

男性隊員は涙を流し、首を横に振る。
光は言葉が出ない。仲間の残酷な姿を見て、恐怖と絶望で頭が真っ白になった。

「彼はエントランス近くにたまたまいて、最初の攻撃をまともに喰らって両腕を失くした。」

光の後ろから、山本がつぶやくように言う。
周りにいた隊員たちも涙を流し、ハヤブサと波兎も表情が唖然となっている。

「・・・・用田小太郎2等兵、あなたは・・・・」

「いやだ・・・・置いてかないで・・・・・・」



「軍曹さんよ!!!変な感情に惑わされんなよ!!!」



周りのムードが、その男の言葉で一変する。
光が後ろを振り向くと、頬に引っかかれた傷をつけた苑柿洋平がガムを噛みながら立っていた。
苑柿は光に近づくと、表情を変えて言う。

「ここは戦場だ。戦えない、使えない奴は置いて行くものだろ?」

「苑柿一等兵、少し黙ってくれ。」

「大体、こいつが悪いんじゃねえか。ノコノコ外の近くを歩きまわって・・・・・」




「黙れぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」




光は大声を出し、苑柿の頭にマシンガンを突き付けた。
山本とハヤブサはその行動に驚き、すぐに止めにかかった。
ほかの隊員たちも慌てて2人を引き離す。
苑柿は怒った光を見ると、不気味に微笑み口を開く。

「そうだ、その気持ちを忘れんな。俺らは兵士。怪物なんだ。相手を殺す殺戮マシーン。」





感情なんかいらないんだよ_______