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Re: 『lost world 荒廃した世界』 ( No.31 )
日時: 2010/08/28 17:08
名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)

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レインボーブリッジ 近辺


「ダメです・・・・山本大佐に繋がりません・・・・」

ハヤブサは自身のGPSをポケットに直しながら、光に言った。
光は大きなため息をつき、未だ東京湾に停泊しているインヴィンシブル級航空母艦を見つめる。
何れにせよ、早く行動を起こさないと何かが起こる。
光の顔には、動揺と焦りが見えてきた。

「とりあえず、2手に分かれて行動しませんか?川本大尉を探す側と山本大佐に伝える側。」

「そうだな。俺とハヤブサはあの軍艦に近づく。お前らは戻って大佐に伝えてくれ。」

椎島の言葉で、光は2手に分かれるようにした。
光の命令に椎島と苑柿は納得すると、急いで来た道を戻っていった。
残った光とハヤブサは、顔を合わせて軍艦へと近づき始めた。

「侵入しますか?」

「馬鹿、行ってどうする?侵入したところで・・・・・いや、待てよ・・・・」

光はハヤブサの言葉で、ある作戦が思い浮かぶ。
3艇ある軍艦を1艇でも奪えば、2艇残ったとしても勝てるかもしれない。
あの軍艦の甲板には、レーザー砲もついてる。
あれを使えば、一発で軍艦を沈められる。

「いける・・・勝てるぞ!!!ハヤブサ、軍艦に侵入しよう!!!!」

光はマシンガンを持ちなおし、ハヤブサと共に静かに軍艦へと近づき始める。
どうやら、東京湾沿いにある某港を抜け、海に入って軍艦に近づくのが一番安全なルートだ。
2人は無人の港に入ると、マシンガンを構えながら海へ近づく。
港のあちこちに、大きなコンテナが無造作に置かれている。

「ちょ、近くで見るとでかいな・・・・」

ハヤブサは軍艦を見ながら言う。
確かに、遠くから見たらそこまで分からなかったが、近くで見るとかなりの迫力がある。

「どこから侵入する?」

「・・・・あそこはどうだ・・・・」

光が指さしたのは、小型潜水艇の出入り口であるハッチだった。
今現在は開いており、運良く見張りも見当たらない。
チャンスはこれ以外ないと思えた。

「行くぞ!!軍艦奪取作戦開始だ!!!」

「了解!!!暴れるぜ!!!!!」

2人はそう言うと、静かに海へ入り、ゆっくりと軍艦へと近づき始めた。


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一方、椎島&苑柿


「こ、これは一体・・・・・」

「どうなってんだ・・・・誰の仕業だ!!!!!」

2人は来た道を戻っていく途中、信じられない光景を目にしていた。
なんと、仲間たちが地面に血まみれで横たわっているのだ。

「だ、大丈夫ですか!!!!!」

椎島は慌てて手前に倒れていた隊員に駆け寄る。
男性隊員は腹部を撃たれ、かなり出血が激しい。

「あ・・・・う、裏切り者・・・・・・」

「え?」

「も、桃山曹長・・・・た・・すけ・・・・・て。」


男性隊員はその言葉を最後に絶命した。
椎島は他の隊員たちを見るが、すでに全員が死亡していた。
苑柿は辺りを警戒しながら、ほかに誰かいないか探し始める。

「死体の中に桃山曹長と山本大佐、それに小宮山中佐と遠藤中尉もいない・・・・」

「どういうことだ?」

そう、無数に倒れている死体の中に、4人の姿がないのだ。
理由は分からない。それはおろか、何があったかも分からない。

「先ほど、その隊員が「桃山曹長、裏切り者。」と言った。どういう意味と思う?」

「な!?そんなのそのまんまだろうが!!!裏切り者!?」

苑柿は噛んでいたガムを吐き捨てると、舌打ちをして地面を蹴りあげる。

「恐らく、彼らはその4人の誰か、あるいは4人に殺された。武器も何も構えていないようだしね。」

椎島の言葉で、苑柿は死んだ隊員たちの武器を見る。
確かに、武器を使った痕跡はない。
信頼していた仲間の突然の裏切りで、武器を持つ暇もなかったのだろう。

「許さねえ。まだ近くにいるかもしれない・・・・探そうぜ!!!」

「そうですね。僕についてきてください。」

椎島の言葉に、苑柿は頷く。
そして、2人はマシンガンを構えて近くを散策し始めた。