ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 『lost world 正義の壊乱』 ( No.40 )
- 日時: 2010/08/31 17:17
- 名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)
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2030年 12月11日 月曜日
時間は4時を過ぎ、廃化した東京の街を夕日が赤く染めていた。
東京湾の海面に夕日が跳ね返り、言葉で表せないほど美しい輝きが一面に広がる。
そして、その東京湾に停泊しているインヴィンシブル級航空母艦に光とハヤブサは乗り込んでいた。
4階・5階 格納庫
軍艦の中心にある格納庫は、4階と5階をすべて使用して戦闘機を収納していた。
無論、戦闘機の周りにはアメリカ兵や白衣を着た研究員がいる。
そんな中に、光とハヤブサの2人はいた。
アメリカ兵の迷彩柄の服を身に付け、恰もアメリカ兵の様に歩く。
「光、ここから上の道はどこだ?」
「今探してるよ。てか、コードネームで呼べ。」
「はいはい・・・ホープ軍曹。」
光は辺りを見渡すが、5階から6階への道がどうしても見つからない。
その時だった。
「よし!!甲板に行く奴は乗れ。」
一人のアメリカ兵が戦闘機の近くに寄り、大声で叫ぶ。
その行動で、光はようやく移動手段が分かった。
「戦闘機専用のエレベーターだ・・・ハヤブサ、行くぞ。」
光はハヤブサを連れ、ほかのアメリカ兵に紛れて戦闘機の近くに寄る。
すると、戦闘機と光達の足元の床が段々と警報を鳴らして上がっていく。
ハヤブサは納得する表情を見せると、上を見上げた。
「夕方か・・・・苑柿と椎島は大丈夫かな?」
「そういえばそうだな。連絡が来ない。」
2人がそんな話をしている間に、ようやく甲板へと移動した。
甲板に出たと同時に、2人の目に綺麗な夕日が飛び込んできた。
「全員降りろ。下に行くぞ。」
アメリカ兵の言葉で、2人は戦闘機専用エレベーターから降りると、顔を合わせて再び船内へと侵入。
そして、コントロールルームへと急ぐのだった。
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「あっ・・・・・ぐっ・・・・・・・・」
椎島に裏切られた苑柿は、撃たれた腹部を押さえながら痛みと目まいに耐えていた。
しかし、苑柿は椎島が裏切ったことを未だ信じていない。
「お前は・・・裏切り者・・なのか・・・・・」
苑柿が呟いた直後だった。
「いたわ!!あそこよ!!!!」
どこからか、桃山玲奈曹長の声が聞こえる。
と、同時に、苑柿の意識は途切れた。
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薄暗い部屋に、苑柿は怪我した腹部に包帯して寝ていた。
「お・・・・起きろ・・・・苑柿!!!!!!」
「はっ!!!!!」
誰かの大きな声で、苑柿は思わず飛び起きた。
すると、腹に激痛が走る。
「痛って・・・・」
「大丈夫か?一体何があった?」
「波兎兵長か、あんたら・・・・・」
「我々より先に行った部隊が全滅だ。だが、なぜ君がいる?」
「分かれて移動してたのか?それで桃山曹長や山本大佐がいなかったのか・・・・」
ふと、苑柿の漏らした言葉に波兎は表情を変える。
それに気が付いた苑柿は、首を傾げて波兎の顔を見る。
「どうしたんだ?」
「私が説明するわ。波兎兵長、あなたは下がりなさい。」
突如、波兎の後ろから現れた桃山は波兎に言う。
波兎は無言のまま、部屋から出て行った。
苑柿は桃山の顔を見ると、なぜか嫌な予感が頭に揺れる。
「小宮山中佐と遠藤中尉、そして先に向かった部隊を全滅させたのは山本大佐よ。」
「なっ!?」
突然の桃山の告白に、思わず痛みを忘れて苑柿は立ち上がる。
「大佐が裏切りって・・・・」
「私たちも後で気づいたのよ。一緒にいた筈の大佐は姿を消して、GPSを置いて消えた。」
「で、でもよ・・・・それだけで判断するのは・・・」
「・・・・あなた、その怪我は椎島兵長にやられてたんでしょ?全て知ってるわ、大佐のGPSに、椎島との何度も連絡した痕跡が残ってた。」
その言葉に、苑柿は何も言えなかった。
信用していた者の裏切りで、内心誰を信じればいいのか分からなくなっていた。
正義が壊乱している・・・・・
日本の軍隊は壊れ始めている_______