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神が滅んだ日から、世界は『悪時代[イーヴルイァラ]』となる。

悪魔が人間と共同生活を始め、やがて人間と悪魔の区別がつかなくなる。

そこに、世界で滅びたと思われたヴァンパイアが居た。

名は『コトゴリス』と言われている…。


†１　　　　リュクラス、満月の日の学校生活をおくる。

『何故、俺だけ吸血鬼なんだ…？』



　“少年”は過去を見ていた。

　過去というのも、今から何千万年も前の話になるが。

　血だらけの体を見、少年は“生えている牙”に触れた。





　そして——





　「あのーっ。」

　「…は？」



　暗黒を思わせる黒髪に、一束だけ鮮血色の赤髪が混ざっている、成績・スポーツ優秀な少年——リュクラス・ラゼドリフはいつものように、机に肘をついて寝ていた。

　恰好は全身真っ黒。…といっても間違いではないほどの黒一色。黒髪、黒瞳、黒コート、黒ジーンズ、そして黒ブーツ。　コートには黒いフードが付いている。

　そこでただ、一束の鮮血色髪だけがとても目立っている。

　そして、起こしてくれた少女——リラ・カフラスは、悪魔であり、神殺し貴族[ディサイダ アリストクラット]の中心となった有名なカフラス公爵の愛娘でもある。

　悪魔は人間と違い、歳をとるのが大層遅く、人間ならあり得ない三億年も生きると言われている。

　当然見た目も老いるのが遅い。