ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: タンテイブ ( No.2 )
日時: 2010/08/24 11:52
名前: ガイ (ID: HQL6T6.Y)

【1件目】

第1話

 よくこの夢を見る。
 父さんが死んでからもう10年。いい加減忘れたいけど忘れられない。いや、忘れてはならないと俺は思っている。
 冬眠から覚めた熊のようにベットからむくりと起き上がると、母さんがいるリビングへと階段を降りた。
 
「響介、おはよー」

 眠たそうに朝食を作りながら母さんが声をかける。母さんといっても本当の母さんではない。本当の母さんは俺を生んですぐ死んでしまったらしい。そして父さんは———……まあ、今ここにいる久遠絵美くおんえみは父さんの妹だ。おばあちゃんに「早く結婚したらどうなの」といつも言われているが今は俺の親代わり。父さんが死んだすぐ後だから、約10年間世話してもらってる。今は本当の母さんみたいな存在だ。ホントありがたいと思ってる。

「おはよー」

 眠そうな声で返す。
 我が久遠家の人間は低血圧で朝は機嫌が悪い。

「ご飯早く食べちゃってね」
「うん」

 朝ごはんを食べ、歯を磨いて、顔洗って、学校の用意して、いつも通りの朝を過ごし、学校に向かった。