ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: タンテイブ ( No.4 )
- 日時: 2010/08/24 17:49
- 名前: ガイ (ID: HQL6T6.Y)
第3話
「失礼します」
来たー!教室に入ってきたのは女の子だった。長い髪にかわいらしい顔。結構いいかも。頬をリンゴのように真っ赤に染めている。緊張しているようだ。
「じゃあ自己紹介してもらいます。じゃあお願い」
「は、はい。転校生の百瀬葉月です。好きな食べ物は、パスタとお寿司とカレーと焼肉と玉ねぎとニンジンとパスタと梅干しとうどんです」
教室がざわめく。みんな思ってることは同じだろう。
まず好きな食べ物多すぎ。もうちょっと絞ってから言おうか。しかもパスタ2回言わなかったか。相当緊張しているらしい。
「有り難うございました。じゃあ座ってもらおうか。席は……じゃあひょろっとした暗そうな奴の隣な」
はまべんの目が俺に向く。お、俺のこと?なんて失礼な。もうちょっと具体的に言え!
しかし言えるはずない。そう言いたいのを我慢した。
「はい分かりました」
いや、百瀬分かるんかい!もうちょっと気を使ってよ。クラスのあちこちから笑いを押し殺したような声が聞こえる。
彼女は俺の隣まで来るとニコっと笑った。
みんなして俺をコケにしやがって……
そこでチャイムが鳴った。
「いや〜面白かったよな、転校生の子。それにお前の顔」
綾人がププッと噴き出す。
俺はムスッとした顔で百瀬の方を見る。彼女の席の回りでは転校生にはお決まりの行事のようなものが行われていた。クラスの奴らが彼女を取り囲んで、質問攻めしている。どこからきたの?とか、くだらない質問ばかりだ。中心の百瀬はニコニコして答えている。
この日は百瀬が中心の日だった。
放課後。
今日は久しぶりに部活がないため、綾人と一緒に帰路についた。
俺や綾人の住んでいる住宅地にさしかかった。
ん?
誰か座りこんでる。綾人と俺は顔を見合す。
「行ってみようぜ」
俺の提案でそこに行ってみることにした。
近くに寄ってみると、それは女でうちの中学校の生徒だった。
「あの、大丈夫で……!」
声をかけると彼女が俺の顔を見る。驚いた。彼女は百瀬だった。