ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: タンテイブ ( No.7 )
日時: 2010/08/25 11:13
名前: ガイ (ID: HQL6T6.Y)

第4話

「も、百瀬……さん」
「あ、あなた達ははひょろっとして暗そうな人とその友達!」

 まだ覚えてたんかい。いい加減名前で呼べ!
 横を見ると、綾人が頭をぐったり垂らし、とても落ち込んでいた。効果音にすると「ズーン」。まあそうなるだろうな。「その友達」で覚えられていたんだから。
 ……お?
 今気づいたが百瀬の目は真っ赤、頬には水の乾いた跡が。さっきまで泣いてたんだろうか。

「で、こんな所でなにしてるんだ?」

 俺が尋ねると百瀬は急にしょんぼりした顔になった。そして泣くのを我慢している顔になる。

「ど、どうした?」
「実は……私の鞄をひったくられたんです……」
「えっ!?」

 ひったくられた?それは可哀想なことだ。
 でも座りこんで泣くことか?

「しかも……亡くなった祖母の形見の指輪が入ってる鞄ですよ。もうどこかに行っちゃったし……どうすればいいのか……」

 なるほど、そういうことか。形見を盗られるとは、その気持ち痛いほど分かる。

「……分かった。俺が何とかする。俺が犯人を見つけてやる」

 ……恥ずかしー。この俺が臭いこと言っちゃったよ。
 百瀬の顔を見るとキラキラ輝いてる。まあやるしかないな。
 綾人の顔をみると———ニタニタ笑ってやがる。明日クラス中に言いふらす気だ。
 あー恥ずかしい。
 今日は最悪な日だ。