ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 嘘吐少年の狂日   ( No.114 )
日時: 2010/11/07 15:36
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

透はこの人が好きみたいだが、僕はその逆だ。
好きにはなれない。

無駄にハイテンション。
やさしいおじさん。
そこはまだいい。
問題はさっきの言葉だ。
あんな生易しい言葉を魔罪屋なんていう四名の一つの核が言ってはいけないだろう。

ていうか、そもそも強いのだろうか。
あんなのほほんとしている人が。
まさか、ということもあるだろうが………あるのか?

「そういえば、黒ちゃんとも会ったみたいだね、縁君」
「黒ちゃん?」
「上総黒丸君」
「…あー、あの」
「そうそう、黒ちゃん。このあだ名で呼ぶと怒るんだよね」
「黒ちゃんと知り合いだったんだ?お前」
「夜鐘君。お前はダメだよ」
「“黒ちゃん”って知り合い全員に言われるんですか」
「いやー、あまり言う人はいないんじゃないかな」
「黒ちゃん、怒らせると怖いからなー」

この内容からいくと、黒ちゃんと呼ぶのは夜鐘と裁羅さんだけか。
というか、裁羅さん黒丸さんと知り合いだったんだな。
万屋をやっているって訊いたし、その関係だろうか。

「黒丸君どうだった?ごつごつしてたよね」
「え、ああ、まぁ」

筋肉バカみたいな感じでした。
体中ごつごつしてましたとも。

「なんか、縁君の嘘に騙されたらしいね」
「そうみたいですね」

他人事のようにうなずく。

「その黒丸君がね、君をとてつもなく怒ってるみたいでね」
「はい?」
「だから前、僕のところに押しかけて君の住んでいる場所をおしえろって言ったんだ」

………かなり危なくないか僕。
黒丸さんの筋肉バカは見せ物だけじゃないだろうし。
正面衝突じゃ完全まけだ。

「これで教えたら、きっと縁君の命はなくなっちゃうだろうから、勝負をしたんだ。勝ったら教えるから、負けたら諦めろってやつで」
「………それで?」

ほぼ勝ち負けが決まったモノだが。
家に帰ったら透がいなくなっていたりして。


「まぁ、腕一本ぐらいはお土産にみたいな?」


言っている意味がわからない。

その腕をお土産にしたのはどっちだ。


「僕が勝ってきたから大丈夫」


まさかの。
モヤシが勝利?

「さすがです、店長」

葛雲君が驚くことなく褒める。

「………」

強い奴好きの夜鐘の目が光った気がした。