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Re: 嘘吐少年の狂日   ( No.116 )
日時: 2010/11/11 19:40
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

八話「守護者」


「守護者、ですか。透からは訊いてないんですけど」

「そりゃそうだろうね。君は透君が最も大事にしてる人だしね。澪ちゃんのことも教えたくはなかったはずだよ」

澪ちゃんを知ってるのか。
そして、澪ちゃんと会ったあの時のことも知っているのか。
透から、訊いたのだろう。

「それで、このメモリーチップには裏世界の情報がいっぱい入っていて、透君を守りやすくしてるわけだよ」

なんか簡単に説明しちゃって。
大事なもののはず、なんだよな。

「その守護者が四名の一つに入ってていいんですか」

「心配ないよ。私たちは基本自由だしね」

そんなんでいいのか。
透のことだし、何かあるんだろう。
そう思いたい。

「そうですか。というか、透ってそんなにすごい位置に立っているんですか?」

狙われているとか言ってたし。
正直、えらい人には全然見えない。

裁羅さんは少し驚いた顔をした。
面食らったような感じだ。
何で知らないの、とでも言いそうでとてもムカつく。

「なんで知らないの」

ほんとに言われた。
何、予想したことは分かってるんだ。
ってわざと言ったような感じは。

夜鐘がボソボソと裁羅さんに言って、裁羅さんはフムフムと頷く。

そして、自分のほうが上の位置に立ってますとでも言うようなオーラをだす。
きっと無意識なんだろうな。

「そっか、フムウム、なっるほど。そっか、きっと透君にも何かの考えがあるんだろうね」

何かつぶやいている。
そして納得したのか、僕のほうを向いて

「今日は来てくれてありがとう。葛雲君に送らせるから。また、いつか」

ほぼ、帰ってもらっていいよ、と言ったみたいだった。

僕はムカつきながらも、この魔罪屋を後にした。