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Re: 嘘吐少年の狂日  参照600突破! ( No.120 )
日時: 2010/11/15 18:58
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

ほんとに。
ほんとに驚きだ。

「……なんでここに出てこれるんだろう」

いつのまにか弧々ちゃんが住んでいたところについた。
道のりが分からない。
後ろに黒い森が広がっていない。

これも結界だとかいうのか。
フム、なぞだ。

「あの、店長が守護者の話をしたじゃないですか」

葛雲君が言った。

「うん、そうだね」
「あれ、どう思いました?」
「どうって?」
「守護者の話、ちょっと簡単でしたよね」
「…そういえば、何か大事そうなくせしてさくっといったような」

やっぱり、とため息をつく。
この様子じゃ何かありそうだ。

「店長はあんな簡単に言いましたが、すごいんですよ。ねぇ、先輩」

葛雲君が夜鐘にふった。
夜鐘はどうでもよさそうに頷く。

「えっと、どうすごいのかな」

興味をそそるなぁ、こういう話。
裏のこと全然しんないもん、僕。


「世界征服」


……は。

ちょっと、短すぎて訊いてなかったよ。


「世界征服ですよ。守護者と彼女を含む計八人は世界をのっとろうとしたんです」


「……そんなのできるわけ、ないだろう?」

「それが、実際、世界の三分の二は成功したんです。ギリギリ七凰色の人たちが止めなければ、この日本も征服されてたんじゃないですか?」


なるほど。

だから“恐怖の透明”、ね。


『——恐怖なんてつけないで、透明なままでいいんだけど』


裁羅さんの言葉がよみがえる。

なんて、簡単に言い切ったのだろう。
あれが恐怖ではないなんて。

「それに七凰色。あの時はさすがに感謝しましたよ。お金だけで解決すると思ってましたから」

「……そういえば七凰色ってなんだ?」


透の話にでてきたこともあるが、分からなかった。

「七凰色っていうのは神凰、闇凰、黒凰、白凰、銀凰、金凰、灰凰の七つの財閥をあわせたことを言うんです」

神と闇だけが色じゃない。
が、どうでもいい。

「そんなことも知らなかったんですね」

ちょいムカ。

そうだよ、透はなにも教えてくれないんだよ。
いろいろ知って……て世界征服だもんな。

ああ、そうだった。
なんかあわせる顔がない。

「まぁ、恐怖の透明には気をつけてください。守護者の核でもあるし、それに……の核でもあるんですから」

今、最後に何を言った?

訊こうとしたら、もうそこには誰もいなかった。

そう、夜鐘も。

「…あいつ逃げやがった」