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Re: 嘘吐少年の狂日  参照600突破! ( No.124 )
日時: 2010/11/21 15:21
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

ため息まじりにドアを開いた。
自分の家のにおいが……ってわからないよ。

透は部屋か。
上からカチャカチャと音が聞こえる。

あー、どうしよ。
あの時みたいになったら。

零無に行った時の冷たい目。
いつもの透じゃなかったけど。

無言で階段を上がる。
って普通なんだけど。
自分の家で緊張。

僕の家にはとあるバカが頼る
ネコ型の万能ロボットなんていない。
この緊張はどこへ連れて行けばいいのやら。


コンコン。


なぜか、響く。
中からは「ちょっと待って」らしい。
「僕の家なのだが」と言うと「私の部屋だよ」らしい。

「私になんの用事ー?」
「ここで言わなきゃいけないのか?」
「ふぅーん……、入って」

その言葉と同時に部屋で誰かが立つ音がした。
透がいちいち立つわけがない。
ので

「誰かいるのか?」
「……出て、りょー君」
「あぁ、あばよ」

誰かが出てきた。

僕より年上っていうか二十代を過ぎている。
後半の三十代はいっていない、二十七か二十八ぐらいのおじさんだった。

黒いローブを被ろうとしているところで、髪は主は赤いのだがところどころ白が混じっている。
目は青色で……あ、サングラスをかけた。

頭をかいて、面倒臭いこと嫌いですっていってるみたいだ。
その男は僕の横をすり抜け、とっとと帰っていった。

そういえば玄関の鍵があいていたような。
あの人がきていたのか。

「お兄ちゃん?入らないの?」
「…さっきの、守護者か?」
「………店長ね」

ふぅー、と大きなため息がドアの向こうから聞こえる。
僕は透の部屋に入った。

「聞きたいことが分かったよ」
「で?」
「…………」

教えるつもりはないってか。
分かってたよ。

「愛情なんてふざけたもので僕を守ろうなんてさ」

……あ、口にだしちゃった。
取り消さなきゃ。
えーと

「嘘だって」

だっけ。
なんか、透につかうと罪悪感が。

ていうか効かないし。
ああー……睨まれてる。
いたたたたた。

「彼の名前は燎魏影喰って言うんだ」

透は言った。

「お兄ちゃんの言うとおり、守護者だよ」

これ以上訊くなと言うように。
鋭くとがった言葉の強さ。

「ごめん」

教えてくれるといいんだけど。
でも、それを言う前に。

「でも、お兄ちゃんには、もっと知らなきゃいけないことがあるよね」

そして


「零無澪が殺されたよ」


突きつけられた現実。

……死んだんじゃなく。殺された。