ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 嘘吐少年の狂日   ( No.129 )
日時: 2010/12/05 19:17
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

追われていないなんて、今さら。
予想してるって、僕も読者も。

「そして、そのまたついでなんだが」

玖桜さんが口を開く。

「うーん、まぁ透はいいっていったしな。大丈夫だろ」
「えっと、分かるように説明して下さい」





「私が守護者だってこと」





……あー。
ごめん、これは予想外。
お手上げです。

ふむ。
もしかしたら。

「弧々ちゃんも守護者だった?」

もういないから過去系で。

「そうだな。会ったことはなかったけど」

ふーん。

でも、ビックリだな。
目の前の人が守護者ねぇ。

「玖桜さんが守護者って、見えませんね」
「透からも言われた。透から誘ったくせに」
「透から、ですか。てことは前から知り合いだったんですね」
「おうよ。かなりすごい地位にいたぜ」
「へぇ、どこですか」
「お前、知らないのか。だったら教えたら怒られそうだな、透に」

ちっ。
なんだなんだ。
守護者全員、透のことを教えてくれないんだから。
おしいとこまで言っておいて。

「なんて顔してんの。かなり面白いんだけど」
「何もしない顔をみて面白いなんて言った人、初めてです」
「いやー、雰囲気?オーラがさー、面白いの」

零無のとこでも言われた、ような気がする。

零無といえば……

「零無澪って子を殺した人物、わかります?」

裏の人物だから普通に聞ける。
僕としては一般人でいてくれたほうがよかったんだけど。

「……知らないなぁ」

怪しっ。
明らかに。
嘘を吐くのが苦手なタイプだ。
僕の逆だ。

「本当のことをはいて下さい」
「……たぶん、神凰だと、思う」
「神凰……?あの財閥ですか?理由とか分かりますか?」
「うー……む。もう知らない、なんにも知らない。だから何も聞くな」

知ってるのか。
でも、神凰がやったってことだけでも分かったんだからいいか。

「これ、ここに行けば分かるんじゃないか?」

玖桜さんが一枚の紙を渡す。
その紙には住所が書かれていた。

「私の知り合いの家だ。たぶんいろいろ知ってると思う」
「……正義の味方気取りですか」
「うるさい。それが私のやり方だ」

だから守護者に合わないんだって。
正義の味方気取りは正義と変わらないし。
どんな形でも。

「あとこれ」

渡されたのは、薙刀だった。
銃刀法違反に………入るのか?
知らなかったんですで済まされないだろう。

「え……と」
「私の武器。どうせここから出ないだろうし」
「いやいや、僕は自分から捕まりにいくほど馬鹿じゃないです」
「どうせばれないって」

ばれるって!
かなり長いんだけど。

「だってさ、縁がここに来るまでの道のりに人がいたか?」
「え…」

記憶を辿ってみると……いない。

「みんな本能で悟ってるんだよ、危険を」
「無意識に近づかないように」

なるほど。

じゃあ、とりあえず。

「行ってきます」
「おうよ。いい思い出を作ってきな」

玖桜さんらしいなぁ。