ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 嘘吐少年の狂日 ( No.26 )
日時: 2010/09/05 00:24
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

“猫”が生きている?

父親と一緒に死んだんじゃ……。



「…嘘をつかないで。あの人はもういないんだ」


透が冷静に応える。


「嘘などではありません。零無の者が見たのです」


「見間違いだよ」


「…よく、そんなことが言えるますね。友達のあなたのほうがお分かりでしょう?あの人の髪の色、きれいな白を」


白…?

白髪だったっけ?母親は。


あてにならない記憶を探ってみる。




……白、だった。


なんで忘れてたんだろう。

三十代で白髪とかありえないはずなのに。



「そうだけど……でもあの人は死んだ。それは絶対だよ」



負けずと透は言い返す。

なぜそこまで生を否定するのだろう。


話からすれば母親は透の友達らしいし。
喜ぶべきなんじゃ……。



「恐怖の透明、なぜそこまであの人が生きていることを否定するのですか?」


当主も同じ考えみたいだ。


「それは……」


透が言いたくなさそうに俯く。


そしてすがるように僕をみた。

一応さっき話を変えてもらってるわけだから、ここは助けよう。




「癒毬さん、聞きたいことがあるんですけど」


「なんですか?」
当主は話を変えられたくないのか不機嫌な顔で訊いた。


「母親は裏の世界ではほとんどの人と親しいと聞いたんですけど、なぜですか?」


めっちゃ話が変わった。

なのに“猫”のことだからか不機嫌な顔じゃなくなった。




「それはですね、あの人が————最強だからです」