ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 嘘吐少年の狂日 ( No.27 )
日時: 2010/09/06 22:02
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

街中を歩いていた。

今日はいろいろあったな。
記憶が追いつかない。


しかも最強って……ありえる。

だって僕は実際にあの“猫”が何百人もの兵士の中に飛び込み、無傷で帰ってきたのを見たのだから。


そうなると何で本当に忘れていたのだろう。

絶対衝撃的なことだから憶えていてもおかしくないのに。



「どうしたの?お兄ちゃん」


隣にいた透が訊く。


「んー、何もー」


「“猫”のことを考えてたの?ほどほどにしないとだめだよ」


「なんで分かったんだ」


「言ってみただけなんだけど…」


「……」


それにしては少しリアルじゃなかったか?


「白銀の戦華」

「あ?」


「“猫”の呼び名だよ。僕たちはあの人を身軽だから猫って言ってるけど」


白銀の戦華。

戦場の華かよ。
ていうか戦場に華なんてあるものなのか?


「会いたいなー。今からでもいいから」


「死ぬなよ」


「嘘だって」



嘘を吐くのは僕の役目なのに。
澪ちゃんにもやられたし。


「嘘吐き少女の狂日」になるのはごめんだ。