ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 嘘吐少年の狂日 ( No.41 )
日時: 2010/09/12 22:49
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

「なぁ、透。訊きたいことがあるんだけど」

帰りの車の中、僕は透に訊いた。


「弧々ちゃんは関わった者から酷い悪事を受けるんだろう?」


「うん、そうだね」


ついさっきあんなことがあったのに、笑っている。

内心では傷ついてる——という風には見えない。

まぁ、一分くらい前まで落ち込んでたようだから許してあげよう。



「僕は短時間でも関わったんだが、嫌な印象なんて持たなかったよ」

「あー、それは私もかな」

玖桜さんも同じだったみたいだ。


「んとね、私の場合弧々ちゃんは無意識にその特性を抑えてたんだと思う。弧々ちゃんから見れば私は初めて相手から話しかけてくれた人だっただろうから。
 くーちゃんは弧々ちゃんを信じていた。上辺だけの付き合い程度じゃなかったんだよ。あの特性は弧々ちゃん自身をわかってくれる者には効かないから。
お兄ちゃんは…これが一番分かりやすいかな」


透が一度話を切り、僕を見た。


大丈夫。そんなことしても分からないことは分からない。





「お兄ちゃんはもとから弧々という存在をみていなかったんだ。それこそ無意識に」



だから、会話すら成立しなかった。


最初から、関わってなんていなかった。




「まぁ、でもそんな終わったことはどうでもいいよ」

友人をどうでもいい扱いかよ。



僕には関係ないことだけど。