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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 嘘吐少女の狂日 ( No.55 )
- 日時: 2010/09/28 22:29
- 名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)
番回編「僕の過去」
僕は天才だった。
生まれた時から分かっていたこと。
僕の母親は喜んだ。
ではなく、悲しんだ。
何で?
僕は怠け者にも劣る努力をしながら有名なT大に受かった。
わずか五歳の時。
自慢じゃない。それは必然のことだから。
生まれた時からこの頭を使って、裏の世界を支配することを、命じられた。
誰から?知らない。
自問自答を繰り返す毎日が続いていた、七歳。
本当は答えなんて分かっていたけど。
「お母さん」
その言葉は言ったって空気に消えるだけ。
誰も返事なんてくれない。
「お母さん」は僕を生んだ後四歳ぐらいまでは一緒に暮らしたけど僕が大学に受かったころどこかに行った。
たしか僕の…兄か姉。
昔、遊んだ記憶があるんだけど…思い出せない。
でも、たぶん姉。
その姉が自分を「僕」と言っていたから僕も「僕」と言っているわけだし。
…お母さん。
僕はいつか、家族で暮らしたいなぁ。
ピロリロリン♪
あ、メール。
「ふぁ…昔のことを思い出してたなー」
携帯電話を開く。
神凰からかー。
“少しくらい顔を出してくれ”、ね。
まったく、僕はお母さんの子供であって神凰の子供じゃないよ。
でも、一応その家系だし仕方ないか。
姉、ね。
昔の僕はなんて勘違いをしていたのだろう。
僕に姉なんていなかったのに。
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