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Re: 嘘吐少女の狂日 ( No.56 )
日時: 2010/10/02 16:57
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

六話「隠れ家」


「よぉ、嘘吐き」

家からでたら夜鐘がいた。

「なんでお前がここにいるんだ?怖くて逃げ出したはずだろう」
「なんでだよ。俺に怖いもんはねーぜ」

そりゃそうだろうな。
お前は殺人鬼なんだから。


「で、俺が犯人だったろ?」
「ここで待ってろよ、警察呼んでくるから」
足を踏まれた。
「ふざけんなよ。そんなことするとたとえてめぇでも殺すぞ!」
ついでにマジギレ。
そこまで警察を拒絶するか。

「なぁ、またあそこの広場にいかねぇ?気に入ったんだ」
「いいよ。積もる話もあるし」
僕が女だということとか。嘘嘘。





「おまえ、なんで殺人鬼やってんの?」
「それを殺人鬼に訊くかよ。だったらおまえはなんで嘘吐きなんだ?」
「それを嘘吐きに訊いたらだめだ」
つまらない話をしていた。


「はぁ……」
「んあ、なに溜息ついてんだ?」
「ああ、ちょっとこのごろ“猫”のことで忙しくてさ」
と夜鐘が硬直した。
指先ひとつ動かない。
…オブジェみたいだ。

「お前、あいつを知ってんのか!?」

「は?そりゃぁ、ていうかお前も知ってるんだ」
                サイレントジャスティス
「あったり前だ!白銀の戦華、静かな正義、無音の鈴、とかって呼ばれてんだよ。たしか本名は

                 神凰詩和」



「え…」

初めて訊いた。



自分の親の名前を。