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Re: アノ神ハキミ。 ( No.1 )
日時: 2010/08/24 20:52
名前: 千風 (ID: wVVEXLrP)

第壱部 序章〜波城灰示編

Word.1 あノ目醒メ[1]

 言葉には、霊が宿る。
 言葉には、魂が宿る。
 やがて神は、言葉の力に目を醒ます…。


 そう田舎でも都会でもない、ごく普通の町、言ノ葉町。そこの商店街の一角にある、小さな八百屋。まだシャッターの降りている店の看板には、『あさひな』と、大きく書かれていた。
 その八百屋の二階、数個ある部屋の一つ、六畳足らずの部屋に置かれた、簡素なベッドの上に、一人の少年が、何とも気持ち良さそうな表情で眠っている。
「んん〜っ…ふじ…りんごぉ〜っ…」
 妙な寝言を呟きながら、少年が寝返りをうつ。その瞬間、部屋の扉が、勢いよく開いた。