ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: アノ神ハキミ。 ( No.2 )
日時: 2010/08/24 20:56
名前: 千風 (ID: wVVEXLrP)

Word.1 あノ目醒メ[2]

「アーくぅ〜ん!朝だっよぉ〜んっ!」
 開いた扉の向こうから、大声を放って部屋へと飛び込んできたのは、満面の笑顔を見せた、ヒゲ面の中年男。その両手は、大量の真っ赤なトマトで、すっかり塞がっている。
「必殺!トマト攻撃ぃ〜っ!」
「ブハっ!」
 ヒゲ親父が持っていたトマトを、寝ている少年へと連続で投げつける。すると、トマトの一つが寝ていた少年の顔面を直撃し、汁を飛び散らせて、勢いよく潰れた。その衝撃で、気持ち良さそうに眠っていた少年が、目を覚ました。
「あっ!アーくん!起きっ…!」
「朝っぱらから何してくれとんじゃあっ!クソ親父ぃぃっ!!」
「ぐほぉぉぉうっ!」
 素早く起き上がった少年が、少年の目覚めを喜んでいたヒゲ親父の顎を、下から勢いよく蹴り上げる。少年は、ボサボサに乱れた、少し茶色がかった髪に、あまりいいとは言えない目つき。今、その顔面は、トマトの汁まみれである。
「さすがは我が息子っ…天晴れな蹴り技っ…」
「たくっ…!」
 少年の父親らしきヒゲ親父が、顎を押さえ、苦しそうに呟く中、少年は近くにあったティッシュを一枚取り、顔についたトマトの汁を拭う。