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Re: -モノクローム- ( No.5 )
日時: 2010/09/05 18:17
名前: ぱびこ ◆rw9vQh4IsQ (ID: A7lopQ1n)

-第二話-



踏み入れた靴の底からでも、絨毯のふかふかした柔らかさが伝わってきた。
豪華列車リヴァセント号の中は暖房が効いていて、真冬の気温で冷えきった体を心から暖めてくれた。
壁には、薄暗い、でも見ていると落ち着くような明るさのランプと、白の偽花が飾ってある。各部屋のドアにも金のプレートがかかってある。
前に一度だけこの列車に乗ったことがあったが、その時より絨毯が地味な色合いから鮮やかな色合いに変わっていた。

切符を確認して自分たちの部屋を探した。
この時改めて思ったが、イザベラは別々の部屋がいいと愚図っていた。しかし僕の家にはそんなお金はなかったし…僕だって別々が良かったがどうしてもあいている部屋がここしかなかった。
 「アーベット」
突然名を呼ばれ、はっとわれにかえった。
 「行き過ぎ」
イザベラが人差し指で一つのドアを指していた。
もう一度切符に目をやる。109という数字。イザベラが指しているドアにも109の数字があった。
 「あ、そうか、見てなかった」