ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 生ける屍 ( No.11 )
日時: 2010/09/03 20:29
名前: メルー (ID: V2/o1KYD)

【第三話】

俺は首の曲がった死体をそのままに、急いで教室に向かう。


 —— バンッ ——

勢いよくドアを開けると、教室の中は変わらない様子だった。

ただみんな呆然としている。

保健室にサボりに行った男が、息を切らして戻って来たんだから当然だが。

「ど、どうかしたのか?」

先生がまず口を開く。

俺は呼吸を整えてから、先生を見て言う。

「龍宮と工藤も体調が悪いので早退します。」

「え?」

「は?」

俺に急に名前を呼ばれた二人が気の抜けた声を出し、先生も開いた口が塞がらない。

普通なら当然の対応だが、今は普通じゃない。

それに、時間も無い。

俺はとりあえず適当に何か言おうとするが、それは遮られる。


『キャァァーー!!』


学校中に響いたであろう悲鳴によって。


教室の空気が一変して、みんなが騒ぎ出す。

先生もすぐに教室から出て行った。

もう時間が無い!

俺は、龍宮に近づいて言う。

「行くぞ!時間が無い!」

「え?でも、まだ授業が…」

「今行かなきゃ死ぬぞ!」

教室が静まり返る。

「え?どういう事なの?」

「時間が無いんだ!だから、今は俺を信じろ!」

「……うん…」

「工藤!」

「…あぁ、分かった。」

工藤は俺の雰囲気に気付いたのか、すぐにうなずく。

そして、俺達三人はクラス全員を見捨てて廊下に出た。