ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 生ける屍 ( No.116 )
- 日時: 2010/10/08 17:45
- 名前: メルー (ID: oKHf8B3C)
【第二十五話】
「今更 何しに来たんだアノ野郎。」
「助けて欲しいのだろう。」
俺の言葉に南瀬先輩が答える。
「助けて欲しい?」
「私達を囮にしたところで一人ではここから出れない事に気付いたんだよ。」
「だから 俺達に助けを求めに来た。」
如月先輩が口を結論を言う。
「まぁ そんなところだろう。」
「……」
南瀬先輩の言葉を聞くと、如月先輩はバスのドアを開けようとする。
まさか あのクソ野郎を助ける気なのだろうか?
「先輩……何をするつもりですか?」
俺は我慢できずに尋ねてみた。
すると、先輩からの言葉は
「……潰してくる。」
恐怖 そのものだった。
無表情に近いが、目から殺気が出ていた。
「潰すって…いったい何を…」
「言い方を変えよう。…殺してくる。」
「!」
確かに 俺も半田の事は殺したいぐらい憎んではいるが、今 そんな事に時間をかけてはいられない。
「先輩。今は先に学校から出る事の方が」
「駄目だ。アイツは生きていればこの先も人を裏切るかもしれない。だから 悪の芽は今 潰す。」
「先輩……」
俺には無理だ。
如月先輩の意思を変える事は出来ないし、これ以上言えば俺も殺されそうだ。
先輩がバスのドアを開ける。
寸前に、
「影璃。」
「…委員長…」
南瀬先輩が如月先輩を呼び止める。
「私達のリーダーが言うのだ。それに従うのが 規則 だろう。」
「……ですが…」
「それに 私達がこれ以上 ココに留まればアイツ等が無数に集まってしまう。このバスのエンジンがかかっているために。」
「……分かりました。すみません。」
「分かってくれて嬉しいが、謝る相手が間違ってるよ。」
如月先輩が俺の方を向いて、頭を下げる。
「取り乱してすまなかった。」
「あ…いえ……別に…」
「……」
如月先輩は謝ると、無言で後ろの席に一人で座った。
「…どうするつもりだい?」
「え?」
今度は南瀬先輩が俺に尋ねる。
「あの教師の事だよ。君が助けると言うなら 助けるし、見捨てると言うなら 見捨てる。」
「……」
「悩んでいる時間は無いよ。すでに アイツ等は私達を囲み始めている。それに あの教師にも 死が近づいている。」
先輩に言われて、半田の方を見ると 半田の周りにも狂人が集まり始めている。
「さぁ どうする 私達の リーダー。」
「…俺は……」
悩んだ。
助けたくはない。
だが ここで半田を見捨てれば 俺も半田と同じなのではないだろうか?
「「……」」
みんなが沈黙で見守る中 俺は言った。
「沖野……半田に車を近づけてくれ…」
【END】
すみません。
散々 次の話で答えが分かると吹かしておきながら 書いていてどうするか迷ってしまったので、答えは次に持ち越します。