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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 生ける屍 ( No.208 )
- 日時: 2010/11/01 18:32
- 名前: メルー (ID: G8vJKxfm)
【第三十五話】
無事に三人を助けられた俺達はバスの中で自己紹介をしていた。
「えぇと、一応この集団のリーダーの神埼 真だよ。よろしく。」
「俺は方条 知也。 ただの 学生 だ。よろしく頼む。」
方条は上からでもなく下からでもない口調で簡潔に言った。
「……黒宮 涙。よろしく。」
「よろしく…。」
黒宮は無口だった。
綺麗な容姿だがあれでは近づき難い そんな風に思った。
「俺は雨田 健吾だ。よろしく頼むぜ!」
「よ、よろしく。」
健吾はこんな状況の中にしては少しテンションが高い気がする。
が それよりも健吾の近くにある幾つかの木材や工具箱の方が気になった。
もしかしてあれを持ったまま逃げてたのか?
そんな俺の視線には気付かずに健吾は他の人と会話し始めた。
黒宮は誰も近づけない様な雰囲気を出しながら、座って 鞄からある物を取り出す。
—— 人形 ——
男の子の人形 一つに 女の子の人形 が二つ出てきた。
そして その三つの人形をしばらく眺め また鞄にしまう。
そのまま目を閉じて眠ってしまった。
方条は制服のポケットから 懐中時計 を取り出して眺めていた。
眩しいぐらい銀色の光を反射している。
一目見ただけで学生が持っている様な代物じゃないのが分かる。
方条もしばらくそれを眺めた後 大事そうにまたポケットにしまった。
そして 近くの空いた席に座り 黒宮と同じ様に眠り始めてしまった。
俺はすぐにでも方条の正体を知りたかったが そんな空気ではない。
何だかこの三人は 俺達とは 違う 気がする
俺はそんな事を考えながら空の端が明るくなるのを眺めた。
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