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Re: 生ける屍 ☆参照1000突破!!★ ( No.232 )
日時: 2010/11/18 19:32
名前: メルー (ID: 3Oig7PbJ)

【第37話】

神崎と呼ばれて立ち上がった日本人は言う。


「自分は SWATを辞めます。そして、日本へ戻ります。」


お偉いさんは神崎の目を見ながら尋ねる。


「何を守りに行くんだ?」

「家族を。」


神崎は即答した。


「…分かった。許可する。ところで、日本へはどうやって戻るつもりだ?」

「日本行きのフェリーがありましたので、それで帰ります。」

「向うではどうするつもりだ?」

「適当に車でも見つけます。」

「それでは時間が掛かるだろう。ヘリを一機ついでに持って行くがいい。」

「いいんですか?」

「かまわん。気にせずに持って行け。」

「ありがとうございます。……あと ついでにですが予備の銃も譲って欲しいんですが…」

「……まぁ 良いだろう。君にも世話になった事だしな。…死んだ仲間のヤツで良ければ持って行け。」

「感謝します。」

「あぁ、気を付けて帰れよ。…そして…家族をしっかりと守るがいい。」


神崎はお偉いさんに敬礼をして、部屋を出た。



最終的に集まったSWATの60人中半分は辞めた。

つまり 辞めた半分は守りたい者を守りに行く者で、残った半分は既に守りたい者を失った者。

神崎はそのどちらなのかはまだ分からない。

家族が死んだのか生きているのかが。

だから 神崎は守りに行くのではなく確認しに行くのだ。

もし 生きていたら守るし 死んでいたらボランティアでもやるつもりだった。

もちろん 心の中では生き残って欲しいと常に思っている。



神崎は一時間ほどかけて出発の準備をして、その日はゆっくり休んだ。


そして、次の日。

日本行きのフェリーには4人の元SWAT隊員が乗った。

一人はパイロット、一人は狙撃手、最後の一人は長年神崎のパートナーをやってきた人。

三人ともアメリカで守る者を失った。
だから 神崎に惹かれてフェリーに乗った。


四人が乗ったフェリーはゆっくりと港を出て、遥か彼方の日本を目指して出航した。