ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 生ける屍 ( No.30 )
日時: 2010/09/08 17:33
名前: メルー (ID: 20F5x0q3)

【第九話】

俺は職員室のドアを少し動かす。

大丈夫、鍵は掛かってない。

俺は隣にいる工藤に頷く。

工藤も頷き返す。

一方、龍宮は少し離れた所で、何も来ないかどうかを確認している。

俺は龍宮の方を見ると、龍宮も頷く。

準備は整った。

俺は一回深呼吸をしてから、思いっきりドアを開ける。

 —— ガラッ ——

「!」

「伏せろ!」

すると、前からマグカップが飛んで来た。

工藤が横に押してくれなかったら俺の顔はいまごろ大変な事になっていただろう。

 —— パリーン ——

マグカップがドアの反対の壁に当たって砕ける。

他に音が無いせいかやけに大きく聞こえた。

「だ、誰っ!?」

今度は職員室の中から声が聞こえる。

俺は立ち上がり職員室の中を覗く。

(酷いな……)

職員室の中はかなり散らかっていた。

プリントは床に散乱し、窓ガラスも何枚か割れている。

そんな中、女子生徒が一人で震えながら俺達を睨んでいる。

(一人で逃げ延びたのか…)

俺は心の中で彼女に脱帽した。

「あんた達もアイツ等と一緒なの!?」

彼女がもう一度叫ぶ。

アイツ等とは狂人の事だろう。

「いや、大丈夫だよ。俺達はまだ…生きてるよ。」

「本当なの?!」

「あぁ、本当だよ。」

彼女は俺の言葉を信じたのか、大きなため息をつく。

その間に、工藤は職員室を調べ始める。

が、すぐに俺の所に来て呟く。

「鍵が無い……部室も倉庫の鍵も全部…」

目的地に来たのに、目的が果たせない。

俺と工藤は更に頭を悩ますのだった。