ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 生ける屍 ( No.32 )
日時: 2010/09/08 20:23
名前: メルー (ID: 20F5x0q3)

【第10話】

「君の名前は?」

工藤が女子生徒に尋ねる。

「沙田……沙田 由美よ。由美でいいわ。」

「俺は工藤 悠樹。よろしく。」

「神崎 真。よろしく。」

「それで、あと一人廊下で見張っている仲間が」

「真!悠樹!」

工藤が龍宮を紹介しようした瞬間だった。

龍宮が急に職員室に入りこみ、鍵をかける。

「どうした?」

俺は一応聞いてはみるが、理由は予想つく。

「アイツ等が……」

的中だ。

ついに来たのだ。

俺達を狂わすために。

「どこにいる?」

「すぐそこよ。」

「数は?」

「二桁は軽くいたと思うわ。」

状況は想像以上に悪い。

「クソッ!ここは二階だし窓から出るのは無理だぞ。」

「…いいかしら?」

「え?あなたは?」

由美が俺達にに呼びかけ、龍宮が初めて由美の存在に気付く。

「彼女は沙田さん。俺達以外の生き残りだよ。」

「よろしく。」

「龍宮 萌です。よろしく。」

沙田さんは紹介を終えると、俺の方を向く。

「えぇと、真…君よね?」

「え?そうだけど。何か?」

「私は由美と呼んでと頼んだんだけど?」

「へ?」

「私の事は由美と呼んでくれればいいから、私もあなたの事は真と呼ばせてもらうわよ。」

「…はぁ…」

「そんな事よりアイツ等どうするの?もう近いわよ。」

龍宮が俺と由美の間に割り込む。

「大丈夫よ。ここにはコレがあるわ。」

由美が後ろにある金属の箱を指差す。

表面には『非難はしご』と書かれている。

「コレで外には出られるわ。」