ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 生ける屍 ( No.43 )
日時: 2010/09/09 21:51
名前: メルー (ID: EoZogUA7)

【第十三話】

俺は放送室へ繋がる扉をゆっくり開ける。

他の三人は少し離れた位置で見守っている。

最初は、俺と工藤で行くつもりだったが、放送室のような狭い場所で2人は動きにくいという事で俺一人になった。

放送室の中も職員室同様、機材が散乱して汚かった。

特に変色した血が所々に飛び散っているのには寒気がした。

俺は思い切って一歩を踏み出した。

そして、改めて中を見回してみる。

使い道の分からない機材が転がってるだけで、教頭も校長もいなかった。

俺はすぐに、放送の準備を始める。

まず、電源の確認。

……大丈夫、まだ使える。

次に職員室付近のスピーカーの電源を切る。

俺は、三回それを確認してから、マイクの電源を入れる。

「あー、連絡します。もし校内に生き残った生徒、先生がいるならばすぐに職員室に来てください。ただし、絶対に音を立てないで下さい。音を立てるとアイツ等は集まってきます。もう一度言います。生き残っている人は、音を立てずにすぐに職員室に来てください。」

俺はマイクの電源を切る。

これで、あとは何人の人間が生き残っていて、ここまで無事に来れるかだ……。


俺は放送室から出た。

職員室で待っていた三人が校庭を見る。

俺もそれにならって、外を眺める。

アイツ等は由美の言ったとおりに外に設置されたスピーカーの周辺に集まり始めている。

そして、アイツ等を避けて走っている生徒がいた。

みんな安心の表情を見せる。

まだ生き残った人間は他にもいたんだ。