ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 生ける屍 ( No.50 )
日時: 2010/10/08 21:57
名前: メルー (ID: oKHf8B3C)

【第十五話】

放送から10分程で集まったのはたったの五人。

俺達は諦めた。

これ以上 生き残り はいないと。


「今から作戦会議をします。」

由美が、そう言いながら手を叩き注目を集める。

五人の内、四人は生徒で先生は一人。

「作戦会議だと?」

そして一番に来たのが唯一先生の 半田先生。

体育の先生で体格もしっかりしている。

「どうでも良いけどよ……仕切るのは一年じゃねーだろ?三年の俺だろ?」

次に来たのが三年の 本多 洋介。

「文句があるなら今すぐ出て行くがいい。」

そして、本多先輩に槍の刃を向けているのは本校の風紀委員長で三年の 南瀬 劉。

「……」

その先輩の後ろから鋭い視線を送っているのが二年で副委員長の 如月 影璃。

「作戦会議って……このまま警察を待てばいいんじゃないの?」

最後に来たのは、一年の 沖野 巧一。


早くも集団の輪は崩れ始めている。


「警察を待つのは良いけど……この状態になって誰も警察を呼んでいないと思ってるの?」

「え?じゃぁ……」

「警察は来ない…もしくは来れないのよ。だから、作戦会議が必要なのよ。」

「それは分かったけどよ、仕切るのは一年じゃ」

「それ以上喋るなら舌を切り落とすぞ。」

「!」

由美に再び文句をつけようとする本多先輩を南瀬先輩が封じる。

「続けてかまわないよ。」

そして、本多先輩が黙ったのを確認して由美に先を促す。

「えーと、だから私の考えではここ(職員室)からこの避難ハシゴを使って下に降りたとして、その先どうするのかを決めたいのよ。」

「当然外に出るだろ。」

先生が言う。

「それは分かっているわ。だけど、校門が開いていないのよ。」

「鍵か……」

「そう、鍵が無いのよ。そして、校門の鍵は指導部の先生が持っているのよ。」

「残念だったな、あの先生はすぐに狂人になっちまったよ。」

「だとすると他の考えが必要ね。」

「車で突破するのは?」

俺が口を開く。

「キーが無いのよ。どうやって動かすつもりなの?」

「あぁ…そっか…」

「半田先生は?」

「俺は徒歩だ。」

「……」

みんなが諦めかけた時、沖野の手が上がる。

「あの〜…」

「何よ?」

「鍵が無くてもエンジンならかけられますよ。」